コピーライティングとアイデアの発想法~左脳の右脳化、その後。/渡辺潤平

活躍するコピーライター・プランナーたちは、何からアイデアを考え始めるのか?その起点とプロセスについて掘り下げた書籍『コピーライティングとアイデアの発想法』。その執筆者に本書を上手に使うコツや、自身の発想法について聞きました。今回は、渡辺潤平さん。書籍の中では「左脳の右脳化」をテーマにご寄稿いただきました。

宣伝会議コピーライター養成講座 編 定価:本体1800円+税 288ページ、上製本

「左脳の右脳化」について、2000文字程度で要約せよ。宣伝会議さんから、なかなか厄介な依頼が来ました。自分がこれまで感じてきたことや考えてきたことをぐっと凝縮したのがあの原稿だったのに、それをさらに要約しろなんて御無体な…。

いささか困った僕は、まずこの本を手にとって、寄稿させていただいた文章をあらためて精読しました。ああ、良かった…今のところ、僕自身の考えに大きな変化はないみたいです。

「左脳の右脳化」。この言葉を聞いてワクワクする方は皆無だと思います。僕がこのような思考に至ったのは、何より僕がフリーランスのコピーライターであることに起因しています。コピーライターの数だけ仕事の仕方があることは、本書をお手に取った方はすっかりお分かりかと思いますが、僕は大半の仕事を一人で書きますし、弟子を育てたりすることもありません。

いわゆる横のつながりも乏しいですし、仕事終わりに酒場で熱い広告談義を交わすこともほぼありません。サウジアラビアのガワール油田のように、つねに淡々と、安定して質の高い言葉を供給する。僕の興味はそこにあります。仕事によって、コピーの出来が乱高下してはいけないし、コンディション次第で周囲を振り回したくもない。そのためには、自分で自分のペースをしっかりコントロールし続けなければならない。すなわち、自分を厳しく律するプロセスを確立する。その試行錯誤の果てにたどり着いたのが、左脳の右脳化でした。

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