消費者が安全性を自ら判断できる材料を提示、いわき“見える化”プロジェクト

いわき市役所の荒木学氏(40歳)。「これからも、いわきで生きていく、私たちの世代がやらなければいけないことは多い」と、プロジェクトに熱意を燃やす。CMのナレーションも荒木氏が担当している。
福島県・いわき市が10月1日より、「いわき農作物見える化プロジェクト“見せます!いわき”」をスタートさせる。 福島第一原子力発電所の事故発生以来、「福島産」や「いわき産」の農林水産物は市場からの受け入れ拒否、消費者からの購入敬遠が続いており、同プロジェクトはこの状況の打破を目指すもの。テレビCMやラジオ番組、WEBサイトなどを通じ、土壌の放射線検査結果や検査方法、空間線量、さらに生産者の生の姿や想いを発信していく。
プロジェクトを担当する、いわき市役所・農業振興化・園芸振興係長の荒木学氏は「農林水産物の売上減は非常に深刻な状況。震災直後は、被災地を応援して下さる気運も高まっていたが、今は日常性を取り戻しつつある。この状況で、単に安心・安全を叫ぶだけでは、なかなか消費者の方たちの不安感を払しょくできない。そこで、安全・安心を消費者の方たちがご自身で判断していただくための材料として農作物はもちろん、土や水、大気の検査結果、いわき市の農業者の取り組みを発信していこうと考えた」と話す。
ターゲットとするのは、「安全性が心配なので福島産は避けるようにしている」と考えている人たち。「たとえば、小さなお子さんを持つ家庭など、判断材料を提示しても、どうしても購入したくない、と考える方もいるし、その人たちに福島産の農産物を手に取っていただくのは、難しい。そこで今回のプロジェクトでは、判断がつかないから福島産の農産物は買わないようにしているという人たちを対象に判断材料を提示することで、購入を促進していきたいと考えている」と荒木氏は話す。