本書を編集するのは、編集者・菅付雅信氏率いるグーテンベルクオーケストラ。東急エージェンシーが編集協力している。香港、フランス、ロシア、ラトビアと日本の5カ国に及ぶ多国籍なメンバーが集まり、編集にあたった。
編集長を菅付氏が務め、編集アドバイザーとしてロンドンのサーペンタイン・ギャラリー共同ディレクターで、世界で最も影響力のあるコンテンポラリー・キュレーターであるハンス・ウルリッヒ・オブリストが参加する。70名近くいる全体の寄稿者、参加スタッフの9割が外国人だという。
タイトルは「国際補助語」という意味。19世紀にポーランドの言語学者ルドヴィコ・ザメンホフが世界平和を願って作った学びやすく喋りやすい人工言語である「エスペラント語」の思想に共鳴し、名付けたという。「CULTURE MAGAZINE FOR WHOLE EARTH CITIZENS」(地球市民のためのカルチャー・マガジン)というサブタイトルが示しているように、文化と教養のグローバルな共有を謳い、東京発・世界視点のメディアであり、シンクタンクを目指している。
「本来は3月に正式にスタートするはずだったのですが、コロナ禍で打ち合わせもままならなくなり、いったん頓挫しかけました。しかし、逆に“このコロナ禍だからこそ、今年出そう”ということになり、9月から正式にスタートしました。でも“こんな時だからこそ”という思いで、予想以上に世界中の多くの人が参加を申し入れてくれて、本当に興奮しています。やはりメディア、特に紙のメディアは強い磁力があるんですね」と、菅付氏。
両観音開きで、タイポグラフィーが特徴的な表紙をはじめ、アートディレクションを手がけたのは、NYのホイットニー美術館やアムステルダムのステデリック美術館の斬新なサイン・システムのデザインで知られる、オランダのエクスペリメンタル・ジェットセットだ。
創刊号の特集は「WHOLE EARTH GOVERMENT」。「世界政府の作り方」を世界第一線の知識人に問うもの。インタビューに答えたのは、フランスの歴史学者/経済学者のジャック・アタリ、WIREDの創刊編集長で数多くの著者があるケヴィン・ケリー、台湾のデジタル大臣オードリー・タン、長文の寄稿はMITプレスから著書を出版している、モスクワのシンクタンク:ストレルカ・インスティチュート教授のベンジャミン・ブラットン。
レビューの寄稿者には、経済思想家で「人新世の資本論」がベストセラー中の齋藤幸平、音楽評論家の高橋健太郎、元テートモダーンのディレクターのサイモン・ベイカーやモスクワの国際的社会活動アーティスト「プッシーライオット」のナジェージダ・トロコンニコワ、イギリスの文化人類学者ティム・インゴルド、イランの思想家レザ・ネガレスタニやパレスティナの女性小説家アダニア・シビリなどが名を連ねる。
また、14都市14名のクリエイターが最近のおすすめの本、映画、音楽、そしてお店を紹介するレギュラー企画「SOURCES」には、東京からDOMMUNEの宇川直宏、ベルリンから世界的アーティストのカールステン・ニコライ、パリは話題のミュージシャンであるシャソール、北京からは世界的写真家リン・チーペン、モスクワのITクリエイターのダニエル・ターブンなどが参加している。さらに連載には、音楽家の坂本龍一、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、エクスペリメンタル・ジェットセット、ベルリン在住の韓国系女性アーティストのクリスティーヌ・サン・キムが寄稿する。
本マガジンは季刊での発行を予定しており、国内は洋書・洋雑誌のディストリビューター、twelvebooksが配本。全国の主要書店、洋書、アートブックを扱う書店で販売される。ヨーロッパ、アメリカでは複数のディストリビューターを通して、20210年1月に配本される。定価は、1500円。
また、発売に先がけティザーサイトをオープン。こちらも全体のデザイン監修はエクスペリメンタル・ジェットセットで、彼ららしいタイポグラフィーの遊びのあるデザインになっている。
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