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出前館の広告戦略 「エリア」と「時間」の制限を乗り越える「再現性のある集客」とは

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日本最大級のデリバリーサービス「出前館」は、2020年3月にLINEとの提携を発表。加盟店は40,000店を突破し、成長・拡大を加速させている。ダウンタウンの浜田雅功さんを起用したテレビCMも話題を集めた。浜田さんは「CDO(チーフ出前オフィサー)」に就任し、「浜田のおごりキャンペーン」など、認知と利用者拡大施策にも貢献した。今回は、出前館の取締役 COOを務める藤原彰二氏にジェイアール東日本企画 営業本部 第六営業局の宮原誠氏と伊藤斎氏がそのマーケティング施策について聞いた。

対談者

写真左 ジェイアール東日本企画 営業本部 第六営業局 第二部 伊藤斎氏
写真中央 ジェイアール東日本企画 営業本部 第六営業局 第二部 部長 宮原誠氏
写真右 出前館 COO 藤原彰二氏

キックボクサーからの転身 異色の経歴を持つマーケター誕生

宮原:藤原さんはキックボクサーからマーケターへ転身されたそうですが、どのような経緯で今の道に進まれたのですか。

藤原:キックボクシングをはじめて半年くらいのときに全国大会で3位になって、この世界でやっていけるのではないかと思い大学3年生のときにプロのキックボクサーになりました。ところが怪我をしてしまい、治療には2年近くかかると言われました。手術をすれば早く復帰できるものの、危険もある。2年は長いし、危険はおかせないということでキックボクシングは辞めることにしました。

その時点で就職活動には出遅れていて、結果として何も活動をしないまま第二新卒になってしまった。なんとか仕事を探そうとしていたところ、当時はインターネット広告が注目されはじめた頃で、サイバーエージェントやオプトといった企業も初めて新卒採用をするようなタイミングでした。私自身、インターネット自体にも知識があったわけではなかったので営業職を志望したつもりだったのですが、最終面接で「広告運用だけど大丈夫?」と言われて、無理とも言えないのでそのまま入社したのが正直なところのきっかけです。

宮原:その後渡米し、帰国後の2015年からはLINEへ。現在は出前館でCOOに就任されています。役割の変化や、現在のミッションについて教えてください。

藤原:アメリカへ行ったのはウェブ広告の最新事情に触れるためです。ウェブ広告のトレンドは日本とアメリカで似ているところがあって、中国で受けたものが日本で流行ることはそれほど多くないのですが、アメリカのものはだいたい3年くらい遅れて日本でも流行る傾向にあります。

それまでの広告業界では、「英語ができるから」という理由で海外へ行くことも多かったようです。私は英語はできませんでしたが、ビジネスの兆しを見つけてこいということで行かせてもらいました。当時は今でいうところのO2Oやオムニチャネルが出始めた頃で、それらを日本へ持ってくるためにはどんなツールがあるのかを調べることが担当でした。LINEには、そのアメリカ時代に触れたO2Oを担当してほしいということで加わりました。

出前館に入ってからのミッションは海外勢の競合企業と比較したときに、サービスでもユーザー数でも上回っていくこと。そのためにどのような手段があるのか、これまではマーケティングを主に考えていましたが、現在はCOOとしてより幅広く考えていこうという立場になっています。

 

何のためにターゲティングをするの?俯瞰的な目で全体を見ることも重要

宮原:出前館ではCOOの肩書を持たれていますが、CMO(マーケター)時代から変化したことはなんでしょうか。

藤原:ひとつは、社外からの見え方です。日本だとCMOでサービス改善を並行してやっている人もあまりいないですし、広告担当者としてしか見られていません。私もCMOのときには広告の話をいただくことがほとんどでしたが、COOになってからはよりいろいろな話が直接来るので効率が良くなったと思います。特に最近はコロナ禍をきっかけにオンラインでのミーティングも増え、スピード感を持ったお話ができるようになりました。

宮原:藤原さんのように、マーケターから経営に深く関わるために必要な視点や経験はありますか。または現場のマーケターがより経営的な効果を与えるために、意識すべきことはなんでしょう。

藤原:マーケティングを考えていくときに、経営陣と現場で視点が違うと感じることが多くあります。広告戦略を考えるときにターゲティングをすると思いますが、例えば100万人の母集団からものすごく絞り込んで5000人になりました、その中で、今まで100人しか動いていなかった人が倍の200人になりましたと言われても、経営側は全体を見ているので、100万人のうちの200人というボリュームで良いのかという話になります。結果として2倍を達成したとしても、ターゲティングで減った分はどれだけなのかというのは忘れがち。私自身はそういう視点も配慮して話をするようにしています。

ターゲティングによっていかに効率的に広告を打つか、という話が多いので、ターゲットを広げようとするよりも、絞り込もうとする意識が強くなる。そうすると思考まで小さくなってしまう。私たちは特に、LINEとの提携で投資額も増えて、いかにターゲットを広げて獲得するかという話をしているので、狭いターゲットの中での獲得率を高めることが決して良い評価になるわけではない。現場においてはターゲティングの枠を絞り込んでいても、ときには俯瞰的に大きな枠組みで考える、そういう概念は必要だと思います。

 

利用者の認知にはテレビ、加盟店向けには交通広告 目的と狙いで使い分ける広告戦略

宮原:ダウンタウンの浜田雅功さんを起用したテレビCMなど、コミュニケーション戦略についてお聞きします。タレントの起用やクリエイティブなど、目的に合わせたものだと思います。

こちらの記事の続きは、
jekiのサイト「恵比寿発、違いを生み出す広告会社のひと・こと・ものサイト」
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