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高崎さんの社内研修を受けて、CMのつくり方がガラリと変わった
栗田
:僕はもともとCMプランナーになりたいと思って電通に入ったんですけど、最初の5年ぐらいはコピーライターやってて、CMはあまりつくれなかったんです。その悶々としていた頃に、若手社員向けの社内研修で、初めて高崎さんとお会いしました。月に1回、CMの課題が出て、高崎さんが全部添削してくれて。
高崎
:テラゴヤって名前つけて、悶々としそうな世代を集めてわりと技術的な話をしてた。自主的にやってたんだけどね。あれは半年だったっけ?
栗田
:1年間でした。最近、そのときの資料が出てきたんですが、ものすごい厚みでした。僕以外にも、佐藤雄介とか長久允、有元沙矢香、福岡郷介、嶋野裕介さんとかも受けてて、いま電通で活躍している人の松下村塾みたいな感じで。
高崎
:偶然だろうけど、みんなが活躍してるのは不思議でなんかうれしいね。
栗田
:僕は受講して結構ビックリしたんです。目から鱗がぼろぼろっと何枚も落ちたというか、「そんなルールがあるんだったら早く言ってよ」っていう法則をいっぱい教えてもらって。同じ仕事をしているのに、全然気付けなかった回路がいくつもあって、それから自分のCMのつくり方がガラッと変わったんですよね。そこからうまくいくようになったところがあって、自分の人生がそこで1つ変わった感じもあり、高崎さんには本当に感謝しています。今も、そのルールを意識しながら、時にあえて無視しながら、CMをつくっているので。
高崎
:それでいうと、僕はまったく同じ経験を「古川裕也」でしてる。ちょうど同じくらいの年の頃に。だいたいそのくらいの時期って仕事も一周してて、壁が見えてきてる頃で、まあ、悩むよね。クライアントは通せるかもしれないけど、それ以上のものに手が届かない。当たったとしても確信犯じゃないから不安がある。でもそういう時期だからこそ、こういう技術的な話はとても必要だったりする。企画者としての基盤はあるから、それをのばせばいい。ただその時期ってやたら忙しくもあるから、広告の技術を磨くみたいな時間がなくて。その時期にこの手の話を自分にインストールしないまま大人になってしまうともうそこまでになっちゃう。だから1年目2年目みたいな子たちに教えるものとは本質的にちがうものだったりする。