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日本企業の「SX」を強力支援! ESG/SDGs領域でベクトルと電通が提携した理由

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「ESG/SDGs×PR」を掲げ、九州大学との産学連携プロジェクトを推進してきたベクトルは、4月にESG/SDGs経営支援領域において企業の持続的なサポートを行うため、電通との業務提携を発表。3者が手を組むことで、どのような価値を生み出せるのだろうか。プロジェクトをベクトル取締役の吉柳さおり氏、電通の竹嶋理恵氏、九州大学大学院の馬奈木俊介氏の3名に話を聞く。

※ベクトルグループ「ESGスコア×PR」事業については、「ESG/SDGs×PRが日本企業を強くする 日本発の格付け機能が始動!ESG/SDGs経営を支援」でも紹介しています。

社会課題に向き合うことが多くの企業にとっての関心事に

——世界的にESG/SDGs経営に取り組む必要が生まれています。なぜ、いま経営の一大テーマとなっているのでしょうか。

吉柳:昨今、DX推進も話題ですが、これはあくまで「手段」。一方でSX(サスティナビリティ・トランスフォーメーション)は「経営戦略」そのものです。企業が存続するために社会課題に向きあう必要があると多くの経営者が感じるようになりました。

馬奈木:最近は「ハラスメント問題を公表すると株価が下がる」という社会環境も醸成されてきています。それだけ、企業を見る目が厳しくなってきているということ。ESG/SDGs経営が企業にとって一大テーマとなっているのも、多くの人が「社会課題に向き合う必要がある」という意識を持ったからだと思います。

竹嶋:Z世代と言われる若い世代の社会課題に対する意識が非常に高いことも影響していると思います。マーケティング活動によって収益を上げる観点だけでなく、優秀な人材の獲得あるいは維持のためにも不可欠で、「やったほうがいいこと」ではなくて「やらないと企業として生き残れない」状況になっています。またSDGsに感度の高い層はSNSを使いこなし、情報をうのみにせず、自分で考えて発信していく傾向があります。彼らは「その企業がどのような商品やサービスを提供しているのか」だけでなく「どのような社会課題に取り組んでいるのか」といった視点で企業を見るようになっています。

——企業のサスティナビリティを考えると、もはや取り組まざるを得ない意識が広まっているのですね。

吉柳:経営者の方とお話しをすると、一様に「取り組みを後回しにしたら若い人たちに捨てられる、選ばれないブランドになる」という危機感を持っていることがわかります。社会貢献を事業にインストールして、“実態”化する必要があります。業績を上げるための経済活動と社会課題解決をリンクさせないとモノが売れなくなる、と経営者は感じているのです。

——ベクトルは企業のSXを推進するために、ESG/SDGs経営支援領域で電通と業務提携しました。

吉柳:ベクトルでは2020年4月から九州大学の馬奈木先生と連携し、ESGのスコアリングツールを共同開発する産学連携プロジェクトを開始しました。開示情報をもとに各企業のESGスコアを算出し、その詳細をまとめたスコアリングレポートを提供しています。

日本にESGの評価機関がない現状では、このESGスコアが企業にとっての具体的な数値目標となります。私たちとしては、このESGスコアを様々な企業に推進して、日本のESG/SDGsの環境を良くしていきたいと思っています。取り組みをさらに深めSXの推進という土壌を日本につくり、根付かせていくためには、より多くの企業のサポートを担う会社とタッグを組み、強力に推進していく必要があり、今回のパートナーシップに至りました。

竹嶋:電通では「電通Team SDGs」という組織が当社のステークホルダーに対してSDGsに対する情報発信、ソリューションの企画開発、ビジネス支援を行ってきました。2年前、この組織のリーダーを引き継いだ当初は、「SDGsについて教えてください」という相談が多かったのですが、現在はフェーズが変わりました。今は、SDGsへの取り組みは当たり前。その上で、「いかに効果的に共感を持っていただく形でコミュニケーションをできるのか」や「収益につながる商品・サービス、ビジネスモデルなどのファクトをつくりたい」など、相談の内容も多様化しています。

当社の多様なステークホルダーと取り組みを進めるなかで、SDGsは長期的な取り組みなので、ESGスコアのような客観的な指標は重要です。今回の提携によって、導入企業の実態とともに途中で成果を把握していくことで、顧客企業の価値向上に役立てたいと考えています。電通としてこのESGスコアをベースに企業価値を高めるためのコミュニケーションやサーキュラーエコノミー構築等のファクトづくりを支援したいと考えています。

馬奈木:人の意識を変える、さらにはムーブメントをつくるのは非常に難しいこと。どんなに正論でも、それを理解してもらうには、技が必要だからです。今回、ベクトルと電通というコミュニケーションのプロフェッショナル2社と連携することで、広く社会を動かすムーブメントがつくれるのではないかと期待しています。

【図】 3つの組織が連携した支援の枠組み

——今後、企業におけるSXはどのように発展するでしょうか。

馬奈木:まだ顕在化していない社会課題は、数多くあります。例えば、メンタルヘルスの問題がより噴出してくれば、それを解決したいニーズが出てきますし、そこにいち早く取り組んだ企業は業績も上がる。社会課題のなかに、新事業を見つけていくことが必要なのだと思います。

竹嶋:SDGsの取り組みは個社の取り組みとともに「日本及び日本の企業の団体戦」だと思っているので、同じ志を持っている企業をつなげて、皆で良さや強みを持ち寄って連携し、国内外に発信することで、日本全体や日本の企業が元気になれればいいなと思っています。

吉柳:皆で手を組んで、良い企業の価値をさらに向上させていく、「送り出し軍団」になれればいいですね。カジュアルに楽しく推進して、あらゆるステークホルダーにつなげていきたいと思います。今回の提携により「楽しいSDGs」が生まれるのではと期待しています。長期的なサポートにより、1社でも多く日本のESG/SDGsの上級企業を輩出したいと思っています。

ベクトル
取締役
吉柳 さおり氏

大学在学中にベクトル入社。2002年同社取締役、2004年PR会社プラチナムの代表取締役。PRをはじめ、大企業のESG/SDGs経営、ESG投資領域における企業・ブランド価値向上コンサルティングに従事。

 

電通
Team SDGs プロジェクトリーダー/SDGs コンサルタント
竹嶋 理恵氏

SDGsに関する情報発信、ソリューションの企画・開発、ビジネス支援を行うグループ横断の専門組織「電通Team SDGs」のコンサルタントとして、数々のクライアントの案件を手掛ける。

 

九州大学大学院工学研究院
主幹教授・都市研究センター長
馬奈木 俊介氏

国連プロジェクトを主導し気候変動や人的資本の分析、SDGsの施策を進めて、豊かな社会づくりを実現するための新しい指標をつくる研究を実施。近著は『ESG経営の基礎』

 


お問い合わせ
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