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デジタル広告の諸問題、日本は世界最低レベル!? 今こそアドベリフィケーションをコストではなく投資と考えるべき理由

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広告予算のデジタルシフトが進んでいるが、予算の増大に伴い大きくなっているのが「アドフラウド」による被害だ。今後もさらなる成長が予想されるデジタル広告。企業はどのような意識を持って運用していくべきなのか。アドセーフティの分野において、実績のあるIASのカントリーマネージャー山口武氏にデジタル広告業界の現状と今後を聞いた。

※月刊『宣伝会議』7月号(6月1日発売)では「「ネット広告の体験品質」課題と対策」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

存在感を強めるデジタル広告 その影にある危険と問題点

電通の調査によると、2020年の広告比率において、従来強かったマス4媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ等)の占める割合は前年比8割程度まで落ち込んだのに対し、インターネット広告費の割合は伸長。コロナ禍によって広告費予算そのものが削られがちな昨今だが、「ターゲットをしっかり定めることで効率的に運用できる」デジタル広告の価値は相対的に高まっていると言える。

「リーマンショック以後、金融系システム等をつくっていた人がアドテクの世界に流れ込んできました。その結果、デジタル広告の取引はプログラマティックになり、何億というインプレッションを瞬時に買える状況ができたのですが、仕組みが複雑化したことでアドフラウドのような悪意が入り込む余地も生まれました。IASはアドベリフィケーションという技術を用いて、悪質な行為から広告主の予算を守るために設立されました」とIASの山口武氏は語る。

同社が4月に発表した「メディアクオリティレポート」【図表1】によれば日本におけるアドフラウドのリスクは世界平均(0.8%)と比較し、2.1ポイント高い2.9%。適切な広告投資を考える際は、まずアドフラウドが対応するべき課題だろう。

図表1 世界と比較した日本のデジタル広告問題発生率

出典:IAS「メディアクオリティ レポート2020年下半期版」
日本におけるアドフラウド発生率は世界と比較しても高いものになっている。

また、広告費が悪意のある第三者に搾取される危険性があるのみならず、特に大企業において課題となるのがブランド毀損の問題だ。

「デジタル広告は他の広告と比べて、キーワードやカテゴリーで対象を選び分けることで、きめ細やかなターゲティングができることが強み。しかしユーザーが広告に触れる際の文脈を無視してしまっては、マイナスイメージを与えかねない危険性もあります。例えば、高級車のキャンペーンをする際、『エグゼクティブ』というカテゴリーで(その高級車にふさわしいであろう)、企業の役員(エグゼクティブ)が逮捕されたニュースの横に広告が表示されてしまう可能性もあるのです」(山口氏)。

IASではブランドセーフティーの担保はもとより、表示されるサイトと広告の内容の文脈に親和性があるかを判断するコンテキストコントロールも行っている。

CPC・CPMに注目しすぎると広告予算が望まない方向へ流れる

2009年の設立以後、世界全体で4000社以上にサービスを採用され、毎月1.1兆インプレッションを計測するIAS。常に手法が進化していくアドフラウドの脅威に立ち向かう上で、IASの高いシェア率によって集まる知見は非常に有効性がある。

「アドベリフィケーションに費やされる予算は世界的に増えていますが、こと日本においては採用している企業は全体の1割に満たないとも言われています。まだまだ世界と日本とでは乖離がある、という印象です。例えば、アメリカの広告予算は日本よりも大きいですが、アドフラウド率はアメリカのほうが低いです。今の日本は『防御に対してお金を使えていない』状態。今後のデジタル広告業界の成長を考えても、アドベリの普及は必要です」(山口氏)。

世界的に問題になっているアドフラウド、ブランド毀損については、日本のデジタル広告市場が抱える独自の問題点も大きな課題になっていると山口氏は続ける。「マス媒体などの従来の広告では、広告会社がしっかり選定した問題のない媒体に出稿できていたため、それがフィルターのような役割をしていました。しかし、ネット広告ではCPC・CPMの最適化をKPIにする広告主が多いので『安いものを多く買う』方向になりがちです。その結果、広告予算が望まない方向に流れてしまうことも多くあります」(山口氏)

図表2 IASのサービスを利用する前後の比較

IASを利用しているお客さまのデータをもとに作成した仮想的な例。

対症療法ではなく根治療法としてのアドベリを

デジタル広告業界が抱える問題に対して、IASでは3つのソリューションを提供している。それが『モニタリング』、『ブロッキング』、『入札前ターゲティング』の3要素だ。モニタリングは「広告が見やすい状態で、安全な掲載面で、ちゃんと人間に対して配信されているか」をチェックする機能。ブロッキングは「悪質な広告が出る前に止める」機能。しかし、ブロックしても広告費は発生してしまう。その問題を発生させる前から「根本的に防ぐ」役割を担うのが入札前ターゲティングだ。

「健康診断で例えると、モニタリングで症状(現在のデジタル広告の運用状況)を把握して、薬を飲んだりしてブロッキング(出る前に止める)をします。でも、症状を抑えているだけでは健康になれないので、運動したり、食生活を改善したりして、入札前ターゲティングで健やかな生活を目指し、根元から治療していくというイメージです(笑)」(山口氏)。

前述のアメリカとの比較の通り、まだまだ日本はアドベリフィケーションに対する意識は低いため、必要性を啓蒙していく段階にあると山口氏。IASが目指しているのは「同じ広告予算内でより良いメディアへ投資することによって、広告効果をより高めること」、「良いインプレッションを提供できる媒体は、価値を認めて、単価も上げてマーケットを健全化していくこと」の2つ。

この実現のために山口氏はアドベリフィケーションに対するコストへの意識を広告主に変えてほしいと話す。「対策にお金をかけるだけだと、何年使っても結局『今の広告予算+アドベリフィケーションコスト』になってしまいます。“コスト”ではなく“投資”だという意識に転換できるように、IASが「使い続ける価値」を証明していきたいです。対症療法ではなく、問題を発生させない根治療法で、デジタル広告業界全体を良くしていきたいです」(山口氏)。


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Integral Ad Science Japan

MAIL:jppr@integralads.com(広報: 吉井直子)