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【広報担当必見】ネット炎上レポート2021年5月版 〜マッチングアプリの情報漏えいに関する炎上について〜

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調査背景・概要

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析し、2019年8月より毎月ネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

エルテスの定義するネット炎上

▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

ネット炎上レポート

 

■2021年5月のネット炎上トレンド

5月に起きた炎上に関して対象を区分したところ、最も割合が多かったのは「企業・団体」の75%(前月比+3%)となります。2番目に多いのは「その他」で13%(前月比+5%)です。

「個人・著名人」は、昨年以降平均的に10%を超えていましたが、5月は6%と低い数値となっています。

「企業・団体」炎上区分の内訳は、「自治体・団体」が先月から大幅に増加し28%を占めました(前月比+14%)。

「自治体・団体」による炎上が増加した背景には東京オリンピック・パラリンピックがあります。コロナ禍においては開催の是非だけでなく、様々な対応に関しても注目を集めました。具体的には以下のような話題です。

・スポーツドクター200人を募集するも条件が無償
・東京五輪選手村の酒類の持ち込みが可能
・都内公園でパブリックビューイング目的で樹木が伐採される(実際は枝の剪定)
・東京五輪エンジニア職の求人内容(報酬が安すぎる)

開催当日に向け、今後も様々な議論が活性化するのではないかと考えられます。

 

■2021年5月の炎上理解の事例

5月21日、某マッチングアプリの運営会社より、不正アクセスによる個人情報の漏えいが発表されました。漏えいしたのは会員登録に際してユーザーから収集した免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書の画像情報で、その数は170万件以上。氏名や住所、生年月日と顔写真がセットになった画像情報のため、悪用された場合は深刻な事態を招く可能性もあり、ネット上でも大きく騒がれました。

そして発表のあった5/21以降、運営会社の対応に対し様々な不満や憤りが噴出していきます。

発表直後に起きた批判は「発表まで時間がかかり過ぎている」というものでした。4月の後半には調査に着手していたとのことですが、GWを挟み、決算発表を終えたタイミングでの発表となったことが非難を浴びています。続いて問合せした利用者から「返答がない」「返信までの時間がかかり過ぎ」といった声が現れ、併せて「退会者も漏えい対象だが何の連絡もない」といった不満も見られるようになります。

こうした状況を受けて5/22頃からユーザー同士での情報交換が活発化し、ネット上で運営会社の対応が公開されます。その結果「問合せ窓口の担当者が全て同名で、返信内容も同じなので同一のテンプレ文を送りつけているのではないか?」といった批判も現れます(真偽は不明)。

こうした中、5/23に運営会社の問合せフォームへ入力した情報が、第三者に見られてしまう状態になっていたことも判明。批判に拍車を掛ける結果となりました。

また5/27に取材を受けた運営会社は、発表が遅れた理由や今後の対応について回答しますが、「問題を認識した4/28以降、経営陣含む関係者は1日も休んでいない、本件の重大性を鑑みれば、それは当たり前のことであるとの常識は持っている」と言う旨のコメントがあったため、再度批判を浴びます。

こうした対応に対する不信感から、論調は運営会社の姿勢そのものへの攻撃に変化していき、炎上後にコーポレートサイトから経営陣の写真を削除した点なども批判を浴びました。

 

まとめ

2021年5月に起きた炎上では、開催が迫る東京オリンピックに関連した様々な議論が目立ちました。そもそも耳目を集める世界的スポーツイベントに対し、人類共通の問題であるコロナ禍が重なっています。多くの人にとって関係のある出来事であり、炎上参加者の数は多くなる傾向にあると言えます。

また特徴的な炎上として、マッチングアプリ運営会社による情報漏えいに関わる炎上がありました。

この件に関しては、企業の対応ひとつで大きく感情を逆なでするのだという学びがあります。情報保持やセキュリティ対策に関する指摘もあるものの、一義的には運営会社も不正アクセスの被害者です。しかし、漏えいの結果、実質的な被害を被る(可能性がある)のは利用者です。またマッチングアプリというサービスの性質もあって、ユーザーがセンシティブになっていた点は十分に認識すべきでした。

かつて、食品衛生に関わる問題を起こした企業の経営者が、取材に殺到した記者団に対し自分が寝ずに対応しているとアピールして、かえって批判を浴びたという出来事がありました。今回も近しい印象を受けます。炎上時における振る舞いについて、人間の本質が変わらない限りはそれほど大きくは変化しないでしょう。先人の轍を踏まないよう、過去の事例に学ぶことの大切さが身に沁みます。


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