企業の物語を、Webサイト上ではどう伝えればよいのだろう?日々無数に公開されるWebサイトの中で任天堂創業家の「Yamauchi No.10 Family Office」やポーラ「2029年ビジョン」など企業の意志を確かに感じるサイトを制作するWebデザイン会社 mountの2人に、同社ならではの制作の秘訣を聞いた。
(本記事は月刊『ブレーン』2021年11月号「ブランドの物語を紡ぐクリエイターの思考とプロセス」に掲載したものです)。
(本記事は月刊『ブレーン』2021年11月号「ブランドの物語を紡ぐクリエイターの思考とプロセス」に掲載したものです)。
ヒアリングを徹底し、「わからないままにしない」
キャンペーンサイトやプロモーションサイト、ECサイトなどさまざまなWebサイトを企画・制作しているmount。クライアントの想いをサイトのデザインに落とし込む上で最も大切なのが、「徹底したヒアリング」だとアートディレクター米道昌弘さんは話す。「mountはクライアントとの直取引の仕事が約7割を占めますが、広告会社経由の場合でも、まずは担当のメンバー全員でクライアントに話を聞きに行くところから始めます。知らない業界も多く “素人丸出し”なこともありますが、そうすることで『誰にサイトを見てもらいたいのか、何を理解してもらいたいのか』という “答え”を自分たちなりに出すのが大切です」。
大まかなテーマは依頼の段階で既に決まっていることも多いが、細部まで理解し自分たちなりの答えを出さないと、ユーザーが実際に触れるWebサイトに実装することは難しいと言う。
2021年4月に公開されたWebサイト「YamauchiNo.10 Family Office」。
「ヒアリング段階でもらえる資料は全て目を通して、何が大事かを自分たちで抽出するんです。情報が多すぎて混乱することもありますが、それはヒアリングが足りないから。“わからないままにしない”というのは全員が意識しているポイントです」と、テクニカルディレクター 岡部健二さん。依頼時の「前提」に安住せず、自分たちなりの答えを出す。だから基本的にプレゼンで提案するのは1案のみ。「僕たちの答えはこれです」と提示するのがmountのやり方だ。


