なぜ「パーセプション」に着目するのか――『The Art of Marketing マーケティングの技法』(音部大輔)より

「宣伝会議のこの本、どんな本?」では、弊社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、「はじめに」と、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。

今回は、12月1日に発売する新刊『The Art of Marketing マーケティングの技法―パーセプションフロー・モデル全解説』(音部大輔著)の「はじめに」の一部を紹介します。

定価:2,640円(本体2,400円+税) A5判 304ページ

マーケティング活動の進化と複雑化

スマートフォンの普及に端を発し、感染症の流行など近年の環境変化を経て日常生活のデジタル化が急速に進んでいます。センサーやデータ技術の進化によって、テクノロジーやサービスは日々アップデートされています。

消費者行動のデジタル化はマーケティングのデジタル化を促します。新サービスやツールが次々に生み出され、テクノロジー企業やサービスを示したカオスマップは複雑化する一方です。ところが、一つひとつの施策の効率や効果が高まったとしても、マーケティング活動全体の成功に結びつかないことがしばしば起こっています。部分最適の延長線上に、必ずしも全体最適があるわけではないのです。最新のサービスを導入したものの、既存の活動と連動しづらく、成果がうまく出ないこともあります。接点が増えることで、各活動の影響力は相対的に下がり、単発の施策や広告活動では、ブランドを構築しにくくなってきました。

その一方で、多様な接点やツールをうまく連携し、マーケティング活動全体の最適化が実現すれば、その効果と効率は部分最適な活動と比べて飛躍的に高まるようになったといえるでしょう。

活動の組み合わせが複雑になったことで、ひとつの広告会社にすべてのマーケティング活動を依頼することは効率的ではなくなってきました。もはや全領域を得意とする万能の広告会社は期待しにくいからです。複数の広告会社やパートナーと協働することが、ブランドの競争力を高く維持するために欠かせません。

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