「なりわい」とは、今、あまり使われなくなったむしろ懐かしい言葉だ。企業を生まれ変わらせる最新の方法論の中核(キーワード)に「なりわい」をもってきたことにまず惹かれた。その意味は本書冒頭で明かされる。
「なりわい革新」は、精緻な方法論だ。具体的に作業方法を詳述しテキストブックとして役に立つ。
読み物として、スリリングでドラマティック。面白い。仕事の本として、実践的であり、実戦的だ。すぐ使える。
全編に漲っているのは、<変化>だ。ダイナミックスのマインドで動いているのが大事だ。スタティックなところがない。
変革が創造であり、動き(運動)こそが生命なのだ。それが企業の生き甲斐であり、働く者・関与者の生きている意味に他ならない。
ひとがつくる、ことをこの本は分からせてくれる。
演劇性に富み、その奥行き、幅がこの作業を立体的にしている。
仕事への取り組みに、面白さ、熱中、ヤル気、やりたい、好き、を感じているか。
熱量をいかに保つか、それが大事だ。
本はチャートなどを使い、分かり易く、パターン分類が理解を助ける。
いくつものケーススタディが紹介されるが、どれも極めて興味深い。納得性に満ちている。このように「なりわい」を革新しているのだと分かった。
事業・組織文化の変革活動に必携の一冊だ。
岡田芳郎(おかだ・よしろう)
1956年電通に入社。営業企画局次長、コーポレートアイデンティティ室長、電通総研常任監査役を務め98年に退職。都市イベントプロデュース、CIプロジェクトの推進、企業メセナ協議会の創設に尽力。著書に『日本の歴史的広告クリエイティブ100選』『日本の企画者たち』など多数。
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