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NDC三澤デザイン研究室が企画・編集、科博「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」開催

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8月5日から東京・上野の国立科学博物館で、「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」(主催:国立科学博物館)と題した展覧会が始まる。

約480万点もの収蔵品点数を誇る国立科学博物館の貴重な資源である標本群。本展は、その収蔵庫の中から世界屈指の動物標本コレクションとして知られる「ヨシモトコレクション」を中心に、選りすぐりの哺乳類などの標本を日本各地の博物館等で展示することを目的に制作した巡回展示だ。「Vol.01」として、今回は哺乳類を取り上げている。

撮影:©️Gottingham

本展の企画編集・デザインを手がけたのは、日本デザインセンター 三澤遥氏を中心とする三澤デザイン研究室だ。2020年春、国立科学博物館側がコンペティションを実施。巡回展をデザインするということに新しい可能性を感じ、三澤デザイン研究室として応募したという。

同研究室では、かねてより上野動物園の年間ビジュアル「UENO PLANET」や21_21 DESIGN SIGHTでの「虫展 −デザインのお手本−」への出品作品「視点の採集」などを制作している。こうしたプロジェクトを通して、自然科学への関心が高まっており、「『哺乳類』というテーマを扱う移動展示に、強い意義を感じました」と、三澤氏は話す。

「展覧会タイトル『WHO ARE WE』には、そのものずばり、『私たちは 誰なのか。』というメッセージを込めています。まるで生きているかのような、息を飲むほど美しくよくできた剥製たちを展示で観てもらうだけではない。目の前の剥製は哺乳類で、私たちも同じ哺乳類の仲間です。そう思って、まずは剥製と向き合ってみる。剥製を見ていたはずが、会場を奥に進むにつれて、徐々に自分自身について考え始めてしまう。『哺乳類とは何なのか。そして、私たちは、誰なのか。』生物科学のその先で、哲学的な問いを提示するような展示体験にできたらと考え、展示の編集を試みました」(三澤氏)

本展のテーマは、「観察の眼、発見の芽」。展示会場には、動物たちの剥製と共に、46個の引き出しのついた棚が置かれている。まっさらな視点で観察をしてもらうため、あえて剝製の周辺に詳細な情報を置いていない。タイトルの付いた引き出しを開けると、そこには標本、模型、図譜など、目の前の剥製を観察するための「視点」が格納されている。引き出しを開けるたびに新しい見方が増え、好奇心が引き出される。そして、ふたたびふたたび剥製に目を向けると、それまでとは異なる姿に見えてきたり、剥製を見ていたはずなのに、いつのまにか世界を見ていたりと、目の前の出来事と地球の出来事がつながりはじめる。


この企画の実現に向けて、三澤氏をはじめとする三澤デザイン研究室のメンバーは、博物資料を見るために国立科学博物館の収蔵庫に足繁く通い、実測。また、資料を読み込み、展示概念図を描いてみる中で、展示のための知識を少しずつ獲得していった。どう展示するかについては、ラフ模型で実寸検証し、空間CGで検証を繰り返したという。

「貴重な剥製にダメージがないよう、展示や移動について博物館側と話し合いを幾度も重ねました。タイトル名からはじまり、企画・編集、空間の構成に至るまで、国立科学博物館の監修のもと、デザインでできることは果敢に取り組みました」

本展は東京に先立ち、2021年7月に大分県立美術館(OPAM)で巡回キットを使って、企画展「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」として初披露された。

「大分県立美術館では、ひとりひとりが引き出しの中をじっと見て、そして目の前の剥製たちをじっと見て。静かな時間の流れの中で、集中して夢中で発見を楽しんでいる空気感が伝わってきました」(三澤氏)

コロナ禍にもかかわらず、大分県立美術館での会期中の入場者数はのべ1万1171人を記録。プロジェクトのお披露目としては上々のスタートを切った。

本展の東京での開催にあたり、「引き出しを引き出すごとに新たな視点と対峙することになります。その感覚を体験しに、ぜひ実際に会場に足を運んでほしいと思います」と三澤氏は話している。

撮影:©️Gottingham

WHO ARE WE 観察と発見の生物学
期間: 8月5日(金)~9月25日(日)
※9月5日(月)、12日(月)、20日(火)休館。
場所:国立科学博物館(東京・上野公園)日本館1階企画展示室
開館時間:午前9時~午後5時 ※入館は閉館時刻の30分前まで
入館料:(税込)一般・大学生630円

主催
独立行政法人国立科学博物館
学術監修
川田伸一郎(国立科学博物館 動物研究部 研究主幹⦅農学博士⦆)
企画・編集
日本デザインセンター 三澤デザイン研究室
AD
三澤 遥
D
佐々木耕平、竹下早紀、水野真由
C
磯目健
進行管理
曽根良恵
写真
Gottingham
什器制作
HIGURE 17-15 cas
協力
ショウエイ、サンク・アール、路上博物館、JMC、尼ヶ崎剥製標本社、灯工社、日の出工芸、フォンテーヌ、フレームマン、ワーズウィズ、山田博之、福井敬貴、本山真帆、鈴田克弥、鈴木正樹、髙田ふみ、杉本拓郎、安田玲奈、山口萌子、ルー・ヒズベルグ

 
  動画

監修
国立科学博物館
企画・構成
日本デザインセンター 三澤デザイン研究室
撮影
岡庭璃子
映像編集
黒田教裕
音楽
Noah

ECD:エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター