多様なスキルや知識が必要となるこの領域において、企業は今後どのようにマーケティングDX人材を獲得していくとよいのか。東急エージェンシーの久保宏之氏が、総合広告会社である同社から見たマーケティングDXについて、解説する。
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(9月30日発売)では、「生活者の変化に合わせて企業も変わる!マーケティングDX」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

東急エージェンシー
上席執行役員
マーケティングDX本部長
久保宏之氏
営業部長、メディア事業局長、人事局長、経営企画室長、事業推進本部長を経て、現在は同社においてマーケティングDX本部長を務める。
Q1. 「マーケティングDX」という言葉をどのようにとらえていますか。
A. デジタルの力でマーケティングを変革し、事業成長にまでつなげる。
マーケティングDXとは、「デジタル(データ、Web、テクノロジー)を活用して企業のマーケティング活動を変革させ、事業成長につなげること」だととらえています。
また広告会社の機能として、企業のマーケティングDXを支援するビジネス領域を考えた場合、フルファネルを対象とし、様々なデータを活用しながら事業成長のための戦略から施策の立案・実行することまでがスコープになります。そのため、自社で専門性を持つだけでなく、多様な専門性を持ったプラットフォーマーやプレーヤーを有機的に組み合わせて活用するプロデュース力を提供することが求められていると考えています。
Q2. マーケティングDXが果たす役割とは?
A. 「顧客理解」「提供価値」「価値の提供方法」に変化を起こし、顧客を創造する。
マーケティングDXの目的は、「①顧客理解(WHO)」「②提供価値(WHAT)」「③価値の提供方法(HOW)」という3つの領域に変化を起こすことです。
①は自社保有データだけでなく、社外データとの掛け合わせによって、より深く顧客を知ることが可能になるため、活用用途ごとに適切な粒度で顧客像を把握することができます。②は深い顧客理解を背景に、自社の提供価値や他社に対する優位点などを明確に定義することが可能になります。③は、②で定義された提供価値を具体的な商品・サービスに落とし込み、また販路や広告・販売促進活動も含めて、最も顧客の満足を得られるような体験を設計、実行することが可能になります。