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ポイントはファクトベースの効率的な投資 キリンビールのマーケティング戦略

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長年に渡ってカタリナのソリューションを導入してきたキリンビール。その活用方法と戦略について、ビール類のブランド担当としてコミュニケーション領域の実務を担う野際陽介氏、同社のマーケティング活動をサポートするカタリナ マーケティング ジャパンの山崎隆弘氏に話を聞いた。

(左から)
カタリナ マーケティング ジャパン ブランドマーケティングソリューション本部 ビジネスデザイン&第一営業部 部長 山﨑隆弘氏
キリンビール マーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当 野際陽介氏

消費者の期待を超える価値をいかにつくりだすか?

―野際さんが担う領域における、マーケティング活動の方針をお聞かせください。

野際:「キリン一番搾り生ビール」ブランドを中心に、戦略立案や、商品開発、広告、SPを含めた実務を担当しています。 

現在ビールメーカー各社は2026年10月のビール類酒税一本化により段階的に酒税が下がる狭義のビールに注力しています。 

当社としても、フラッグシップブランドである「一番搾り」をいかに成長させるかがポイントであり、全社をあげて取り組んでいます。広告やSP含めたコミュニケーション全体で、お客さまの期待を超える価値を提案していかなければならないと考えています。

―施策も多岐にわたると思います。投資最適化についてはどのように取り組んでいますか。

野際:テレビだけでなく、デジタル、OOHなどクロスメディアで、お客さまの態度変容を最も促せる施策は何か。ROI最大化に向けて、細かな視点で最適化しながらも常に全体を俯瞰し、PDCAを回しながら投資配分を行っています。

山﨑:野際さんは立案した戦略を盲信するのではなく、戦略の答え合わせも含めて全体に大きく網をかけてから、効果のある所に集中していくという手法を取られている印象です。前例や慣習にとらわれて可能性を排除することなく、ファクトベースで検証する姿勢をお持ちだと感じています。

野際:ブランドを購入いただき、体感し、好きになっていただくことが最終ゴールですので、購入いただける可能性の高いお客さまは、どのセグメントなのか。特に「一番搾り」は間口の広いブランドでもあるので、最初は広く捉えながらも、より購入いただける可能性のあるお客さまへ、しっかりアプローチしていくという考えで取り組んでいます。

山﨑:中間指標に囚われすぎて最終ゴールの購買を失念すると、適切な最適化になりません。野際さんは購買というゴールを常に忘れずに俯瞰しつつ改善しているからこそ、投資の意思決定も適切にできているようにお見受けします。
 

難関は「手に取っていただくこと」モーメントを捉えたサジェストを

―生活者のメディア接触、購買行動共に複雑化している中で、その道筋をどのように分析されているのでしょうか。

野際:情報の量、消費スピードが速くなるなかで、いかに価値ある情報をお届けできるか。メディアの種類も広がっているのでプランニングも複雑になっています。ですが、最終ゴールはブランドを購入いただき、体感し、好きになっていただくことに変わりありません。KGIから逆算し、達成のためには何が必要か?とシンプルにKPIを設定します。例えばデジタルのインプレッションなどの指標も大切ですが、見るべきは、その先の態度変容、行動変容をどれだけ促せたかです。

山﨑:KPIを見直すこともあるのでしょうか。

野際:市場がダイナミックに変動しているので、ゴールは同じでも、アプローチの手法は常に柔軟に変えていく必要があると思います。KPIは達成しているのにKGIを達成できていない場合は、どこかにズレが生じているはず。その時、市場全体を俯瞰したうえで、異なるKPIを設定することもあります。これはブランドのステージによっても変わるもの。そしてこれらのKPIは適切な次のアクションにつなげるためにも、当然ながらメジャラブルなものであることが大切です。

山﨑:再現性を高めるためには、途中のロジックが明確でないといけませんよね。

野際:はい。例えばテレビCMのKPIを好感度に設定していて、その目標を120%達成したとしても、KGIである売上に響かないという場合もあります。好感度ももちろん大切ですが、その先の購入いただける姿までを意識しないと、再現性は担保できないと考えています。

―KPI達成にあたり課題に感じられるのはどの領域ですか。

野際:やはり一番難しいのは「実際に店頭で手に取っていただく」ことです。 認知というのはある程度リーチとフリークエンシーを高めれば獲得できますが、サービスやブランドがあふれている中で、手に取っていただく設計をするのは相当に難しいです。それはもちろん広告だけで達成できるものではなくて、PRや店頭での見え方など適切な接点づくりも重要。カタリナさんのソリューションでは、購買の可能性があるお客さまにクーポンをお渡しすることで、「ちょっと試してみようかな」という気持ちを醸成できるので魅力的です。

山﨑:消費者から見て、購入価格というものはブランド側が考えているより高いハードルです。適切なタイミングでのオファーなどが必要になってくるでしょう。モーメントを捉えたタイミングでのサジェストが重要だと考えます。
 

データをコンパスのように使ってマーケティングを進化させる

―具体的に、どのような部分で連携されているのでしょうか。

野際:先述のクーポン施策のほか、効果検証や、利用者動向をデータで把握し、広告をはじめとするメディアプランニングのターゲティングにも活用しています。

山﨑:お会いした当初、「我々のデータをコンパスのように使ってほしい」とお伝えしたのですが、まさにそのように活かしていただいています。私たちのソリューションはアプローチが特殊なのではなくて、これまで通りのアプローチとデータを組み合わせることで、より精度を高める貢献をするもの。サンブリングを行ったらどんな効果があるのか、どんな人に刺さりやすいのか。ブランドを俯瞰で捉える際に方向性を定めるコンパスのようにも使えるし、カテゴリLTVの高いショッパーを獲得するような、より直近の施策でいかに効果を高めるかという短期的な視点でも使えると考えています。

野際:KGIに近い部分の分析ができるので、より深度のある答え合わせができるんです。しっかりROIが見えるしKGIに近い売上が見える。だからこそより実態を伴った施策のPDCAが可能になると感じます。 様々なチャレンジを通じて、さらにお客さまに喜んでいただけることは何か、より広くアプローチできる手法は何かと探っていく。100年先まで、お客さまにとってなくてはならない存在であり続けるためにも、これからもマーケティングを進化させていきたいと考えています。



お問い合わせ
カタリナ マーケティング ジャパン株式会社
URL:https://catalinamarketing.co.jp/