東京商工リサーチは3月6日、2024年1〜2月の「早期・希望退職者」を募集した上場企業は前年同期を5社上回る、14社に上ったと発表した。対象人数は3613人で、すでに23年の年間実績を452人超えている。東京商工リサーチは、「大手企業が本格的な構造改革に乗り出した可能性が出てきた」と見る。このままのペースを保つと、対象人数の総数は1万人の大台に乗る可能性がある。1万人超えは2021年以来。
ことし1月から2月にかけての早期・希望退職者募集で主だったところは、資生堂の1500人(募集は4月17日〜5月8日)、オムロンの1000人(同4月10日〜5月31日)、セブン&アイ・ホールディングスの700人(東京商工リサーチ推定、募集期間は非公表)など。資生堂は昨年12月にグローバルで400億円のコスト削減を打ち出している。特にデジタルでは、消費者との直接の接点を強化する方針で、直接購入やカウンセリングを受けられる専用サイト「Omise+(オミセプラス)」や、自社EC「ワタシプラス」のリニューアルも進めるなど、ROIの向上と機動的な投資を並行して進める。東北新社は1月22日〜2月2日、30人程度の想定で希望退職者を募った。応募人数は11人だった。
2020年は募集した企業が93社1万8635人、21年は84社1万5892人。22、23年は一服しており、それぞれ38社5780人、41社3161人だった。直近の早期・希望退職者の募集は、コロナ禍で打撃を受けた業種が中心だったが、その影響を引きずっているアパレル関連でも24年に入ってからはワコールホールディングスのみだった。同社による150人の募集には215人が応募した。
東京商工リサーチは「24年に入ってから幅広い業種に分散している。深刻な人手不足の中だが、業績回復の目立つ大手企業で早期・希望退職者が増えており、大手企業が本格的な構造改革に乗り出した可能性」があるとみる。政府によるリスキリングなどのキャリアアップ支援事業なども、構造改革を促しそうだ。
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