八木康夫さん
1950年名古屋市生まれ。1973年早稲田大学卒業後TBSに入社。1983年、ビートたけし主演のテレビドラマ『昭和四十八年、大久保清の犯罪』を初プロデュース。以来主な作品は『パパはニュースキャスター』『カミさんの悪口』『魔女の条件』『百年の物語』『オヤジぃ。』『さとうきび畑の唄』『おやじの背中』(以上TBS)『中村仲蔵』『ガラパゴス』(以上NHK)など。2012年芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
Q TBSに入社した経緯を教えてください。
マスコミ業界は憧れでした。そんな中就職活動の時期に、校内の掲示板に貼り出された求人票に目を向けると、TBSの募集がありました。大学の推薦枠10人に対して800人応募という狭き門でしたが、なんと抽選で運よくその枠に滑り込み、入社試験にも無事合格し、テレビ局に入社することになったんです。
入社後は、音楽番組の制作に携わりたいと希望を出すも叶わず、配属されたのはドラマの制作部。20代はADとして厳しい下積みを経験しました。ドラマにはまったく興味がなくて。制作現場は徒弟制度のように上下関係が厳しく、長時間労働でモチベーションもあまり上がりませんでした。それでもなんとか6 ~7年ほど経験を積んだ後、初めて作品をプロデュースすることになり、犯罪系ドキュメンタリードラマの企画を立てました。
Q 昨今のテレビドラマの傾向を、八木さんはどのように見ていますか?
ここ数年のテレビドラマにはどこか個性に欠け、ジャンルにも偏りが感じられます。例えばLGBTQが世間的に注目されると、それをテーマにしたドラマがどの局でも放映されている。視聴者側の選択の余地が狭まってきているなと感じますね。
編成局ではキャストの人気度とか、どんなジャンルがヒットしたかなど、しっかり分析をしています。その結果から制作する作品を決めていきますが、これまでのデータを基にしているため、どうしても既視感がある。視聴者は今まで見たことのないものを見たいという欲求があるんです。だからドラマは視聴者の想像の数歩先を行く作品をつくらないといけないんじゃないかと思います。
八木康夫さんのインタビュー記事は、月刊『宣伝会議』2024年5月号 に掲載。
月刊『宣伝会議』デジタルマガジン では、2013年から本連載の過去10年分のバックナンバー記事を閲覧可能です。
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