「プレイステーション」「金麦」をはじめ、数々の話題のCMを制作してきたクリエイティブディレクター 黒須美彦氏。2023年12月末に、これまでの仕事で培ってきた映像の企画と技、そして広告界のさまざまな人たちについて綴った『門外不出のプロの技に学ぶ 映像と企画のひきだし』を上梓しました。そんな黒須氏のCMにほれ込み、自ら「黒須マニア」と称するのが、映画監督でクリエイティブディレクターの長久允氏。若かりし日に黒須氏と仕事を共にしたこともあり、さまざまな学びがあったと言います。今回、師弟関係とも言えるお二人に、映像の企画について語っていただきました。

企画前にあらゆる映像を見て、徹底的に検証する現場
黒須:長久くんと一緒にお仕事したの、何年前でしたっけ?僕が電通の若手クリエイターをいっぱい呼んで、競合の仕事をしたときかな。
長久:僕が入社して2、3年目だったと思います。15年ほど前ですね。
黒須:当時、僕がシンガタに移って6年目くらいで、野末敏明さんが電通の若手を見てください、と采配してくださったんですよね。それで、個人的に気になる人たちの名前を挙げた中の一人が長久くんだった。
長久:そのとき、僕は女の子がブランコに座ってしゃべるだけのコンテを提出したんです。他のCDだったら絶対に落としたと思うんですが、黒須さんが「すごくいいね」と言ってくださって。あ、僕が考えていることが伝わっている、わかってもらえた!と思ってうれしくなったんです。それまでは、どちらかと言うとマーケティングありきの企画に参加していたこともあって、世界観とかセリフの語尾とか、そういうのをわかってもらえたことがとてもうれしかったんです。
黒須:それは何かに収束するストーリーだったんですか。
長久:細かいところは自分でも覚えていないのですが…収束しなかったと思います。
黒須:多分、それがいいと思ったんだ(笑)。
長久:ただホワっと商品説明をしていただけでした。CDである黒須さんの作風にあてたわけでもなかったのですが、そこからお仕事に呼んでいただける機会が増えましたね。
黒須:僕もそこで電通の人たちのやり方を学んだり、して。
長久:黒須さんと一緒にお仕事しているとき、楽しかったですよ。イオンのお客様感謝デーとか。
黒須:あの仕事は出演するタレントさんの関係で撮影が一度しかできないから、編集段階で色々と組み合わせられるように、カレンダーの数字のカットを全部撮ったり。
長久:タレントさんのリアクションもいろいろ撮りましたね。
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