2011年5月にセブン‐イレブン・ジャパンが、プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の全面リニューアルを発表したのをはじめ、10月にはローソンが「ローソンセレクト」のパッケージ、商品ラインナップを一新した。その後も各社のPBにおいて、リニューアルや新ブランドの立ち上げが続いている。
この動きは、2000年頃から各コンビニチェーンとも既存店における売上の伸び悩みに端を発していると流通経済研究所 主任研究員の山崎泰弘氏は指摘する。「かつてコンビニは深夜、独身男性の利用で成長してきました。しかし近年、スーパーマーケットも深夜営業をするところが増え、既存顧客である男性も不景気から価格の安いスーパーマーケットへと足を運ぶようになり、コンビニは競合店だけでなく、他業態との競争にさらされています。売上拡大のための新規顧客獲得策として、新たな客層への対応が急務となっています。その結果、高齢化や女性の社会進出なども加わって、2000年頃から客層にシニアや主婦層の割合が増えつつあります」。
そこで、個食ではなく食卓に出されることを想定し、食卓に出しても見劣りのしない高品質なメニューや、保存性の高いパウチ商品などがラインナップに加わるようになった。例えばローソンセレクトでは、主婦層にアンケートを行い、要望の多かった冷凍食品を新たに加え、商品アイテム数を150から180へと大きく拡大。また、カテゴリーごとにパッケージを11色に色分けし、選びやすいデザインに変更した。
またファミリーマートでも2010年、シニア向けコミュニティ「ウィルビー」と共同で、「おとなコンビニ研究所」を設立。シニア向けの商品開発や、イベントなどの企画を行っている。
「今後は、飽きられないよう、バラエティに富んだ商品開発を継続できるかが課題。独自商品を持つ地域のメーカーや小ロットに対応できる中堅メーカーに製造委託の機会が増えることも想定されるでしょう」と山崎氏。今後、勝ち残れるのは開発体力がある企業であり、今後ますますコンビニの寡占化が進むと見られている。
「宣伝会議」2012年1月1日号掲載記事より
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