この考え方は、企業における柔軟な組織運営や従業員のキャリア成長を促し、結果的に従業員の定着率やエンゲージメントの向上につながるとされています。では、具体的にスキルベース組織とは何なのか、どのように実現するのかをTBWAHAKUHODOの二階さんと礒原さんに紐解いてもらいます。
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スキルベース組織(Skill-Based Organization)とは?
スキルベース組織とは、従来の「ジョブ(職務)」を基準にした組織設計ではなく、社員が持つ「スキル」に基づいて仕事を割り当てる組織のことを指します。
ジョブ型は箱のラベルが判断材料になる
ジョブ型の組織運営では、職務記述書(ジョブディスクリプション、以下JD)に基づいて人材を配置し、決められた役割の範囲内で業務を遂行するのが一般的です。例えばですが、ジョブ型は「営業職-ジュニアレベル」という大きな箱に人を入れるようなイメージです。その箱の中に入っている人は、概念的には等しく「ジュニアレベルの営業職」であり、極端に言えば一人一人のスキルの差は記録も考慮もされません。
仮にジュニア営業職の人でプログラミングができる人だったとしても、JDに書かれていないスキルなのでそれは会社からは見えません。会社側から見えるのは、JDに記載されているスキルに限定されますので、画一的な人材把握しかできないということになります。
ジョブ型における業務は会社が規定した職種や部門内での役割に限定されることになるため、例えば仕事のやり方や進め方を変更した際に、「それは自分の仕事ではない」という摩擦が生じることもあり得ますし、何か新しい領域に挑戦する際に「それをできる人は会社にいません」というモードになってしまうこともあり得ます。また、従業員側からしても、キャリアは専門性を深める方向になりがちで、スキルの幅を広げる機会を得難いことにもつながることがあります。
スキル型は個人のスキルが判断材料になる
一方スキルベース組織の場合は、個人にスキルのタグを貼り付けるようなイメージです。例えば営業職の人がいた場合、その人には営業職固有のスキルのタグが付きますが、もし仮にプログラミングもできる、デザインもできる人であった場合は、プログラミングやデザインのスキルタグも付くことになり、その人の能力値を総合的に、立体的に会社側で把握することが可能となります。
これが可能になると、会社側は、その人の職種や肩書きだけでなくスキルをもとに仕事にアサインしたり異動させたり、キャリアを開発させることが可能になるなど、より有効なタレントマネジメントの実現につながります。