Spikes Asia 2025 エンタメ・ゲーム・音楽部門で語られた「広告を超える」コンテンツとは?

アジア最大級のクリエイティブの祭典、Spikes Asia 2025が4月24日にシンガポールで開催された。24の部門が設けられており、審査員らは12のチームで手分けしてそれらの審査にあたる。そのうち日本から、エンターテインメント部門・ゲーミング部門・音楽部門の審査にあたったのは、 HYTEKのCEO/クリエイティブディレクター/アーティストである満永隆哉氏。審査の過程での気付きを2回にわたってレポートする。

アジア最大級のクリエイティブの祭典、Spikes Asia 2025

※※※※※

Spikes Asiaとは、アジア太平洋地域における広告・クリエイティブ業界の卓越性を表彰するアワードフェスティバルだ。広告、デジタル、ブランド体験、エンタメといった領域における最先端のアイデアが一堂に集結し、優れたキャンペーンや作品に対してスパイク(スパイク=とがった発想、刺激的な表現)を称える賞が授与される。

2025年度は、20の国と地域から計2759点のエントリーがあり、うちエンターテインメント部門・ゲーミング部門・音楽部門について、7人の審査員で2日間にわたり審査をしていった。

「広告か否か」は問わない異種格闘戦

私がが審査員として担当したエンターテインメント部門・ゲーミング部門・音楽部門では、単なる“広告”を超え、エンタメやゲーム、音楽といったカルチャーの中に、いかにブランドを溶け込ませたかが評価される。それが広告か否かは問われない。体験や文脈の自然さ、ファンとの関係性なども評価軸となる“異種格闘戦”だ。

これらの幅が広すぎる部門の審査にあたったのは、日本からは私、香港から世界的音楽レーベルの責任者、シンガポールの大御所クリエイティブディレクター、オーストラリアからはキャラクター開発部門のスペシャリストなど、他の部門と比べてもかなり多様性に溢れるメンバーたち。

文化的背景も評価軸もバラバラな7人が、日々議論を重ねる。その中でも特に高い評価を獲得した作品は、言語を超え、文化を超え、感情に直接届く“コンテンツ力”を持った作品たちだった。

企業コンテンツが本物のムーブメントになる

審査の過程で、特に印象深かった2つの作品がある。内容と共に説明していきたい。

ひとつめは、音楽部門でグランプリを受賞したプロクター・アンド・ギャンブル/Old Spiceの「AIDAKHAR」だ。

舞台はカザフスタン。男性の「男らしさ」が文化的に重要視されてきたこの土地で、体臭や汗の匂いを防ぐデオドラントは、まだ一般的ではなかった。その中で消費者に商品をどう届けるか——Old Spiceは、音楽という手法を選んだ。

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ