日本ロレアルが楽天市場に11ブランドの公式ショップを出店する5つの理由

フランスに本社を置く世界最大の化粧品メーカー、ロレアルグループの日本法人である日本ロレアルは、2019年から楽天市場にブランドの公式ショップを出店し、ビジネスを大きく伸ばしている。また、昨年には、日本ロレアルと楽天グループがビューティ領域において顧客体験のさらなる向上を目指すパートナーシップ契約締結に向け合意。楽天市場での成果をきっかけに、両社の連携を深めている。

日本ロレアルがなぜ公式ショップの出店先として楽天市場を選んだのか。またどのようにしてビジネスを拡大しているのか。日本ロレアルの小峰淳一氏と楽天グループの武田慎太郎氏と6月12日に開催された「宣伝会議マーケティングサミット」に登壇し、詳しく語った。

百貨店のリアル店舗に近しい体験を提供できる

日本ロレアルは、全20ブランドのうち11ブランドの公式ショップを楽天市場で運営している(今年6月時点)。

日本ロレアルが楽天市場を選び続けている理由は、大きく5つあるという。それは、「強い顧客基盤」「強い店舗基盤」「楽天ポイント」「強力なキャンペーン」「データ基盤&分析環境」だ。

楽天市場は、日本のEコマース市場の中で非常に大きなシェアを占めるECモール群の中でも、化粧品のカテゴリでトップシェアを誇っている。また、女性用の衣料品カテゴリでも大きなシェアを持つなど、女性向けの商材に強い顧客基盤を持っているという特徴がある。そのため、女性を主なターゲットとする化粧品ブランドを数多く展開する日本ロレアルと、楽天市場の顧客基盤は非常に親和性が高い。これが、楽天市場を選ぶ1つめの理由だ。

2つ目の強い店舗基盤とは、楽天市場は商品ページ全体において店舗のトップページへのアクセス割合が非常に高く、ブランドの世界観や製品全体のラインナップを伝えやすいということを指す。

「我々がオフラインで重視しているのは、百貨店の1階に構えている店舗での体験です。そこには、ブランドの世界観や我々が提供している製品をお客様に包括的にご覧いただける環境が整っています。楽天市場の店舗では、それに非常に近い体験をしていただけるので、とても魅力を感じています」(小峰氏)

日本ロレアル デジタル戦略統括本部 コーポレートECディレクター 小峰淳一 氏

実際に、楽天市場に構えた店舗では、「1顧客あたりの加重平均単価が高く出る傾向がある」と小峰氏。店舗の中でいろいろな商品を見ながら選び、最終的に複数の商品を購入する顧客が多いという点も、楽天市場のショップの強みだ。

ポイントと強力なキャンペーンで売上をつくる

3つ目の理由は、楽天市場を含む70以上の楽天グループのサービスで利用できる楽天ポイントだ。化粧品ブランドは、お得であることを訴求する際もできれば価格を下げたくないと考えている場合が多い。ロレアルグループも同様で、顧客のニーズやセグメントごとに緻密に各ブランドをポジショニングして展開しているため、基本的に価格を下げることは良しとしていない。

そこで、価格を下げる代わりに、購入者に通常の10倍や20倍の楽天ポイントを付与している。これは百貨店などでもよく用いられる手法で、ブランド価値を毀損せずにお得であることを訴求できることがメリットだ。

「楽天ポイントは幅広いサービスで使えるので、通貨に似たイメージで、非常に価値の高いものだと我々は評価しています」(小峰氏)

楽天ポイントはお得感を訴求できるだけでなく、出店しているブランドの理解を進めるにあたって、さまざまな行動を促すツールとしても活用できるという。

「たとえば、商品やブランドメッセージを訴求する動画をつくって、視聴した人で楽天ポイントを山分けできるようにしたり、アンケートに回答した人にポイントを付与したりといった形で、商品の魅力やブランドメッセージを知ってもらうきっかけに使っていただいています」(武田氏)

楽天グループ アカウントイノベーションオフィス ビューティーマーケティング戦略課 シニアマネージャー 武田慎太郎 氏

キャンペーンが強力で効果が高いのも楽天市場の大きな特徴で、これが4つ目の理由にもなっている。代表例は、楽天スーパーSALEやRakuten Brand Day(楽天ブランドデー)、お買い物マラソンなど。いずれもブランドがかなり大きな売上をつくれるキャンペーンだ。

化粧品ブランドの公式ショップに特に効果的なのは、百貨店にも出店している有名ブランドが集まるRakuten Brand Dayや、ブランド公式の化粧品ショップだけが参加できるBEAUTY SPECIAL。5万店舗以上が出店している楽天市場では、自ブランドの店舗に気づいてもらいにくいが、こうしたキャンペーンに参加すれば注目を集めることができる。

「楽天市場のキャンペーンは圧倒的なリーチが得られるので、新規獲得にとても有効です。また、ブランドを毀損せずに売上を上げるという点でも、キャンペーンをてこにコンバージョンを高められるところがメリットです。今後は、こうしたキャンペーンで得たポイントを使ってロレアルグループをリピートしていただけるよう、うまく仕組み化できればと思っています」(小峰氏)

楽天IDに紐づく膨大なデータを活用できる

5つ目の理由は、楽天の保有する膨大なマーケティングデータを活用できるという点だ。楽天のサービスを利用するには楽天の会員IDを作成する必要があり、一つのIDに楽天のサービスすべての利用データや顧客情報が紐づく。その潤沢な情報をもとにしたマーケティングデータを利用して顧客分析を行い、顧客の解像度を高めることができる。

「国内を見渡しても、一つのIDでこれほど多面的にお客様の購買行動を見られることはなかなかない。やりたいことを明確にした上でこうしたデータを使い、施策の成功率や再現率を高めたいと考えています」(小峰氏)

日本ロレアルが楽天市場に出店している11ブランドの公式ショップは、それぞれ独立している。2025年は1年を通して、ブランド間の併売率を高めることを目的に、日本ロレアルの異なるブランドで購入するごとにお得になるといったキャンペーンを展開していく。

「キャンペーンを開始して3カ月で、昨年対比で複数ブランドの購入者の構成比が3倍に向上しています。今後も、楽天のアセットを使ったビジネスの推進に、日本ロレアル様と取り組んでいきたいと思っています」(武田氏)

お問い合せ

楽天グループ株式会社

URL:https://maker-showroom.faq.rakuten.net/s/

advertimes_endmark

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ