Amazon傘下のTwitch Japan(ツイッチ ジャパン)は、ライブ配信プラットフォーム「Twitch」における、Z世代の利用動向調査を発表した。対象は16~25歳の503人で、いずれも過去6カ月以内に2時間以上SNSを利用し、ライブ配信サービスを視聴している層。調査では、ライブ配信が単なる「推し活」にとどまらず、視聴者同士のつながりや共感を重視した「コミュニティ体験」として広がっている実態が示された。
7月9日に東京都内で行われた調査発表会。Z世代がライブ配信に期待するのは「一体感」や「つながり」だと説明する、コンテンツ・ディレクターの北垣文江氏
視聴者同士のチャット交流が65%
調査によると、毎日の視聴時間が2~5時間と回答したうちの77%が特定ユーザーの配信通知をONにしており、推しの配信をリアルタイムで視聴する習慣があるという。視聴理由では「リアルな交流」「一体感」「感情を共有できること」などが上位に挙がった。
また、視聴者同士のチャット交流を楽しむと回答した割合は65%に達した。コンテンツ・ディレクターの北垣文江氏は「想定以上の比率だった」とし、従来イメージされていた「配信者との双方向性」だけでなく、視聴者間のやりとりが重要な要素になっていることを指摘した。チャットやスタンプを通じた交流は、配信体験の一部として定着している。
北垣氏は「2020年のコロナ禍でライブ配信市場が急拡大し、それ以降、視聴者同士がチャットで交流する場面が目立つようになってきた印象がある」とコメントする。
推し活を超える「共感」と「居場所意識」
約70%が「ライブ配信を通じてサブカルチャーコミュニティを見つけやすい」と回答し、視聴行動は所属意識や共感を重視する傾向が表れている。配信者の魅力としては「トーク力」「親しみやすさ」が上位に挙がり、一体感を持って視聴したいニーズがうかがえる。また2人に1人が配信を第三者に共有しており、16〜19歳は好きなパートを切り抜く傾向が目立ち、20〜25歳では配信全体をリンクで共有する回答が多かったという。
「Z世代はタイパ(時間効率)を重視する一方で、感情的なつながりやリアルタイムでの交流を強く求める側面もある」と北垣氏
VTuber人気の拡大続く
日本はアジアで最もTwitchの成長率が高い市場とされ、2023年の視聴時間は前年比46%増、2024年も17%増と拡大が続いている。人気のコンテンツはVTuber配信、eスポーツ、一人称視点で武器を使って戦うFPSゲーム、雑談など多岐にわたる。特にVTuber配信は、2024年の総視聴時間が前年比30%増、総配信時間が23%増と大きく伸長。日本全体のVTuber市場が前年比153%、推定8000億円規模に拡大する動きと比例するように成長している。


