近年、広告会社の採用はこれまで以上に難しくなっていると言います。その背景には、インハウスの人気の高まり、マスメディアの影響力低下などによる広告業界の人気の減少、他業界との人材獲得競争、働き方の多様化など、複合的な要因があり、従来型の採用活動だけでは人材を確保しきれないケースが増えています。
このような状況下で、広告会社ではどのように採用活動を進めていくべきなのでしょうか。クリエイティブ職・マーケティング職に特化した人材エージェント「マスメディアン」のコンサルタントである小倉卓也さんと森屋瑞貴さんに、広告業界における採用の現状と必要な対策について聞きました。
インハウスの人気により転職希望者が分散
10年前には限られた大手企業だけが持っていたインハウスのクリエイティブチームも、今では事業会社、コンサルティング会社、SaaS企業など多くの企業に広がっています。自社でブランドを育て、発信していく体制をとる企業が増え、制作を外部の広告会社・広告制作会社にすべて任せるスタイルは減少傾向にあります。
さらに近年は、働き方改革の推進により、転職希望者側も自身の働き方を見つめ直し、ワークライフバランスを重視する傾向にあります。その結果、長時間勤務の傾向にあるクライアントワークに従事するよりも、残業が少ない事業会社の環境で、一つのブランドにじっくりと向き合いたいというインハウス志向が高まっているのです。
多くの広告会社・広告制作会社の採用コンサルディングを担当する小倉さんは「実際にマスメディアンへ登録するクリエイターやマーケターも、インハウスを第一志望に挙げるケースが珍しくありません。このように、広告会社や広告制作会社が第一志望として選ばれにくくなっていることは、採用担当者にとって無視できない課題と言えるでしょう。広告会社目線で言えば、採用における競合が増えているんです」と分析します。
働き方の多様化が採用にも影響
このような危機が迫る中、広告会社はどのように対策していくべきなのでしょうか。小倉さんは、求人に大きく影響する要素の一つに勤務環境を挙げます。
「リモートか出社かといった勤務環境は、転職希望者にとって応募するかどうかの基準になります。ただ、少し前までは求人票に『フルリモートOK』と書くだけで応募が集まりましたが、最近では少し状況が変わりつつあります。対面でのコミュニケーションや、リアルな空気感を重視したいと考える人が増え、出社を希望する方が増えつつあるのです。リモートだといつでも仕事ができる分、思わぬ長時間労働が発生したり、社員同士のコミュニケーションが希薄になることでモチベーションが下がったり、仕事が進めづらくなってしまったりといったデメリットが顕在化したのも要因です」。
一方で、完全に出社形態へ戻す企業には、ネガティブな印象を持つ転職希望者もいます。子育てや介護といった、個人の事情もあるでしょう。そのような中で人気があるのは、「働き方に柔軟性がある会社」です。ハイブリッド勤務やフレックスタイム制など、勤務時間・場所を社員が調整できる会社は、好意的に受け止められます。また、ただ制度を整えるだけでなく、「どのように活用されているか」「実際のチーム運営はどうか」といったリアルな情報を求人票や選考内で伝えることで、転職希望者とのミスマッチも減らせます。
採用は“水物”。変化に適応するための視点を持つ
「どの業界や企業にも言えることですが、採用活動は景気やマーケティング予算、メディアトレンドなど、さまざまな外的要因に左右されます。企業には事業戦略があると思いますが、適応戦略も重要ですよね」と語る森屋さん。「採用も同じで、計画を立てたとしても転職市場はどんどん動いていきます。予期せぬ変化が起きても、その都度対応できるようにしておくことが、企業の採用における勝敗の分かれ目です」と続けます。
企業の採用担当者は、社内の変化はもちろん、社外(転職市場)の変化にも向き合う必要があります。小倉さんは採用サポートについて、「マスメディアンは特化型エージェントということもあり、業界の採用動向や成功事例といったリアルタイムな情報を常にキャッチアップしています。そのため、転職希望者の声を踏まえた、多角的かつ具体的なご提案が可能です。例えば、企業によっては採用ターゲット層を広げる、選考フローを見直す、見せるべき情報を整理するなどといった提案ですね」と説明します。
転職希望者から選ばれる会社になるために
転職希望者側にも変化が生じていると森屋さんは言います。「今はさまざまな領域でAIが活用されはじめたこともあり、自分の価値が発揮できる場所、価値を見出してくれる場所を多くの方が求めています。面談時には転職理由として、働き方を変えたい、商流を変えたい、今の上長と合わない、といったお声をいただきます。しかし一歩踏み込んで聞いてみると、自分自身の強みや軸を見つけたい、というより深いところにある希望に気づくケースが多いです」。
「かつては、広告業界は人気業界でしたから、特別なことをしなくても求人を出すだけで人が集まっていた時期もありました」と小倉さん。しかし今では、努力がなかなか採用に結びつかないという企業からの相談も増えていると言います。
こうした転職希望者の変化に対応し、激化するクリエイティブ・マーケティング人材の採用競争を勝ち抜くためには、「働き方」「キャリアの伸ばし方」「どんな人と働くのか」といった具体的な情報を惜しまず伝えていく姿勢が求められます。求人票だけでは伝わらない“社内のリアル”をどこまで開示できるかが、応募数とマッチ度を左右します。
マスメディアンでは、広告会社をはじめとするマーケティング・クリエイティブ領域に特化したネットワークとノウハウを活かし、企業が転職希望者に選ばれるための情報設計や最新市場動向を踏まえた採用支援を行っています。「転職活動を考えている方とひと口に言っても、職種やライフステージなどの属性によって、特徴や刺さるキーワードは異なります。採用ターゲットからの応募を集まりやすくするためには、何を、どのように伝え、あるいは変えていくべきかを伴走しながらサポートします」と森屋さん。
クリエイティブ・マーケティング人材の採用でお困りの企業の方は、ぜひ一度マスメディアンにご相談ください。
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