日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)は、1983年より毎年、広島国際文化財団、ヒロシマ平和創造基金とともに、言葉を超えて“ヒロシマの心”を訴えるポスターを制作。国内外に向けて平和を呼びかけるキャンペーン「ヒロシマ・アピールズ」を実施している。
この企画では毎年、JAGDAを代表するデザイナー1名がボランティアで制作。終戦から80年目を迎える今夏、 制作に挑んだのは北川一成氏(GRAPH代表/アートディレクター)だ。
北川氏は1987年、筑波大学卒業。2024年に「KAMIZU」で第26回亀倉雄策賞を受賞。また2004年、フランス国立図書館に“近年の印刷とデザインの優れた本”として多数の作品が永久保存される。2008年には、グラフィックアーティストとして世界三大芸術祭“FRIEZE ART FAIR”に出品。2011年、パリのポンピドゥー・センターで開催された現代日本のグラフィックデザイン展の作家15人の1人として選抜されている他、ADC賞、TDC賞、JAGDA新人賞など受賞多数。これまでにNY ADC賞、D&AD賞等、国内外の審査員を歴任している。
「PEACE」と題されたポスターは、たっぷりとった白地にゴシックで組まれたその言葉が際立つ、シンプルだが力強いデザインだ。
制作にあたり、北川氏は次のようにコメントしている。
戦後80年。
平和の願いをこめて白の空間に墨の五文字、
「PEACE」の言葉を描きました。
両面表のポスターに成っています。
クレジットが鏡文字の白い「空」間は、くう、そら、
あく、あける、から、むなしい、すく、うつろ、
の言葉を表しています。 (北川一成)
本ポスターは8月7日まで、東京ミッドタウン・デザインハブで開催中の「日本のグラフィックデザイン2025」展に、第1回「ヒロシマ・アピールズ」ポスター(亀倉雄策/1983年)と共に展示されている。
また、8月10日まで、広島市内のバス停26ヶ所に、本ポスターのデザインを掲示(協力:エムシードゥコー)。さらに、10月19日までイタリア・ジェノヴァ市立キヨッソーネ東洋美術館にも展示されている。
現在、本ポスター(税込価格:1枚1,100円)は、広島平和記念資料館(原爆資料館)、広島市平和記念公園レストハウス、広島市現代美術館など広島県の各所他、JAGDA事務局(東京ミッドタウン・デザインハブ内)とJAGDAオンラインショップで購入することができる。また、これまでに制作された「ヒロシマ・アピールズ」ポスター全29作品をポストカードセット(税込価格:2,500円)として販売中で、こちらはJAGDA、またはJAGDAオンラインショップで購入可能。

