IPとファンの感性をAI分析 SMNが注力するコラボレーション支援とは

IP(知的財産)を活用したビジネス事例やメソッドを紹介する「IPビジネスカンファレンス2025」(宣伝会議主催)が6月27日に開かれた。SMN事業企画部 部長の若命渉氏が登壇し、「感性を起点にIPファンとエンゲージメントを」というテーマを掲げ、SENZAIを活用したコミュニケーション設計について解説した。若命氏は、前職までのデータマーケティング経験を活かし、現在テクノロジーとマーケティングの融合に取り組んでいる。

IPと商品の価値が交わる「親和性」を測る

SMNは、アドテクノロジー事業やマーケティングソリューション事業を展開するソニーグループの企業だ。ソニーが独自開発したレコメンデーションエンジンをもとにした広告配信プラットフォームを主力事業にしながら、AIを活用したコミュニケーション戦略支援サービス「SENZAI」を新たに始動。若命氏は、IPの価値と商品価値の重なり合う親和性を「どこに見出すか」、「誰をターゲッティングにして」相乗効果を広げるかが肝要だと考えている。

例えば、ヘッドホンのブランドと女子高生のIPのコラボプロモーションを検討するとき、そのIPは大人びているのか、恋をしているのか、近未来を予感させるのかなど、様々な要素からブランドに合うIPを選ばなければならない。同社では、商品は、それが持つ「ブランド、新機能・用途・ライフスタイル、こだわりのデザイン」といった価値と、それを求める「ターゲット」を一体のものとして捉えており、一方でIPは、「タイトルの持つ世界観や舞台設定、主人公のライフスタイル、ファンからのイメージ、ファンの人物像」といった、様々な要素が合わさって総合的にその価値が評価されると考えているという。

若命氏は、このように評価軸が複雑なIP選びは、客観的基準のない「宙に浮いた議論」に陥りやすいと指摘する。その課題を解決し、消費者の感性分析に基づいて戦略的なプランニングを支援することがSENZAIの役目だと話す。

機能、情緒、社会の3軸で抽出と分析を行う

SENZAIは、ブランド・商品の特徴と消費者の感性をマッチングさせるコミュニケーションプランの支援を行うプロダクト。商品の特徴をAIが理解し、消費者の感性に訴えるコミュニケーションを導き出し、より精度の高いプランを提案するものだ。

SENZAIの感性分析は、「機能的価値・情緒的価値・社会的価値」を消費者の興味・関心を端的に示すキーワード群として抽出し、そのキーワード群がどういった感性の人に興味を持たれたり、共感を得られたりするかマッチングをかけることで行われる。ハリウッドのアクション映画を見た人が日本の任侠映画を見たとして、そこにどんな共通項があるかを探るとき、ストーリーや配役など細かな要素を分析し、「異なるジャンルだが、こういう観点で2つのタイトルを見た」といった仮説立てを繰り返していくようなイメージだと若命氏は語った。SENZAIは、「映画・ゲーム・音楽」などエンタメコンテンツへの興味・関心や、「SNS投稿」「webレビュー」「アンケート」といった多様なデータソースを分析 。その結果を、ソニーが独自に定義した12種類の「感性タイプ」に分類することで 、エンターテイメント以外の領域における消費者の生活行動まで分析を広げられるのが特長だと若命氏は説明する。

IPファンの分析がターゲティングの精度を高める

IPと商品・ブランドのコラボでは、IPファンの解像度を上げることで、精度の高いターゲッティングが狙える。SENZAIは、IPのタイトルが持つテーマやストーリー、公式SNSでの投稿スタイルはもちろん、ファンのリプライや反応、どんな評価が多いかなどのデータも収集し、特徴的なワードを抽出する。

また、IPファンのSNSなどから、普段の投稿スタイルやエンターテイメント領域以外での興味についてもデータを抽出し、ライフスタイルや価値観から類似性や関連性を計算することで、「このIPとファンはこのような人たちで構成されている可能性が高い」という判定処理ができると若命氏は語った。

そして、様々なSNSや公式サイトなどからキーワードを集め、それらのキーワードはこういう感性の人たちに評価、共感してもらえるだろうというデータをレーダーチャート形式で表現し、曖昧なはずの「親和性」を見える化できるのがSENZAIの強みだという。

SENZAIが実現する、戦略的コラボレーション設計

さらに、IPの細かな分析により、ファンの感性分布やファン層の推計なども可能だ。IPを構成する世界観やストーリーといった多角的な要素をAIを用いて分析し、それによって分析精度を向上させる。コラボを検討する際には商品とIP両方の感性分析によって解像度をたかめることで、プランニングしやすくなると若命氏は語った。親和性の高い人物像だけでなく、IPと商品で交わることのなかった感性を持つ人も見える化されるため、片方に親和性のない層を巻き込むようなプランニングもできるという。

SENZAIにはソニーグループが音楽や映画、ドラマ、ゲーム、アニメといったエンターテイメント領域のマーケティングで培ってきた知見が活かされており、「この商品はこの音楽が好きな人に合っている」といった、趣味との相性まで分析できる。あらゆる要素から親和性の高い感性タイプを見つけ、「ちょっとしたときめきを大事にしている」「流行やトレンドに目がなく、暮らしにデザインを求めている」など、それぞれの感性タイプの感性と行動の関係性をレポートとして出力するため、表現方法をよりリアルにプランニングすることが可能だ。さらにはコンテンツ・ノベルティ・キャンペーンに分類し、親和性のある感性タイプに刺さるキーワードまで提案できるため、「ぜひ幅広い業界でSENZAIを役立てていきたい」と若命氏は話した。

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SENZAI

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