「応援」を新たなエンターテインメントに昇華
日本で生まれたカラオケ文化が海外で進化し、「逆輸入」される形で戻ってきた。カラオケチェーン「カラオケBanBan」を展開するシン・コーポレーションは8月8日、カラオケステージ&バー「VSING(ブイシング)」を渋谷センター街にオープンする。「ブイシング」は、香港に本社を置くV Sing International Limited が東南アジアを中心に展開しており、現在は世界で42店舗を構える。日本での出店は今回が初となる。
アプリを通じて応援することで様々な演出が反映される
「ブイシング」は、個室型のカラオケとは異なり、不特定多数が参加できるオープンな空間。店内で目を引くのは、大型LEDと照明演出を備えたステージで、ライブ会場のような雰囲気を演出している。
最大の特徴は、専用アプリを用いた独自の応援システム。聴き手は気に入った歌い手にアプリ上から「Cheer(チアー)」というギフトを送り、応援の気持ちを表現できる。チアーには「かわいい」「エグい」といったメッセージが用意されており、送られたチアーに応じた演出がスクリーンに反映され、パフォーマンスを盛り上げる。
チアーが送られると歌い手にはポイントが付与され、店内でのドリンクやフード、チャージ料の割引などに利用できる。歌い手は一番多くチアーを送った聴き手と「フレンド」になることができ、ボーナス特典としてアプリ内で使える「ジェム」を獲得できる。
こうした仕組みについて、コンテンツの企画などを担うダイナモアミューズメントの小川直樹社長は「ステージで歌うことに憧れる若者は多い」と語る。近年はSNSやライブ配信の普及でパフォーマンス披露のハードルは下がったが、リアルな場で「承認される体験」を求める人は多く、ブイシングはそのニーズに応えると見ている。
日本には「スーパーチャット」や「ギフト」などの「投げ銭」文化が浸透しており、新業態を受け入れる下地があると考えている。「推し活」が一般化する中、「応援」という行為自体もエンターテインメント化しており、一番応援した人が歌い手とフレンドになれる仕組みもその一環。小川社長は「応援においても『一番になりたい』という心理がある」とし、この仕組みによってオーディエンスにもスポットライトを当てたいとしている。
今後は首都圏を中心に店舗を拡大し、カラオケの新業態の定着を目指す。インバウンド需要も期待しているが、メインターゲットは日本の若者だとしている。インフルエンサーやIPとのコラボなどの企画を検討するなど、「推し活」需要も取り込む考え。小川社長は「路上ライブのシンガーもブイシングを活用することで、より承認されやすくなるかもしれない」と期待を示した。
