備蓄米ニーズで蘇る炊飯器市場 パナソニックとタイガーで異なる「古米をおいしく炊く手段」

まだまだ続くと見られる「米騒動」に商機

主食の価格高騰で注目を集めた「令和の米騒動」は、炊飯器市場にも大きな影響を及ぼした。長年減少傾向にあった出荷台数が、2025年4~6月期には前年比でプラスに転じた。Googleトレンドにおいても同時期に「高級炊飯器」の検索数が上昇しており、消費者の米への関心を高まったことで、古米をおいしく炊ける高級機種に注目が集まったと見られる。こうした需要に応え、家電メーカー各社も古米に配慮した機能を備えた新機種を相次いで投入している。今回はパナソニックとタイガー魔法瓶に取材した。

写真 「令和の米騒動」で注目を集める高級炊飯器

「令和の米騒動」で注目を集める高級炊飯器

農林水産省のデータによれば、7月の米の平均価格は5キロあたり4000円を下回っており、備蓄米の放出が価格高騰を抑えたと見られる。一方で、2024年産の銘柄米については価格が下がっておらず、新米の予約販売も依然として高値で推移している。

政府は8月、米の安定供給に向けて増産方針への転換を発表。一方、パナソニックの調理機器のソフト開発や食に関する情報発信を担う「Panasonic Cooking@Lab」は、2025年産の新米についても収穫量の減少を予測。今年の夏は気温が高く、降水量も少ない状況で、害虫であるカメムシの増加が収穫に悪影響を及ぼす可能性があるという。
米のデンプン量が少なくなる「高温障害」も懸念され、品質面でも十分とは言えない可能性がある。さらに、2024年産の古米を前倒しで消費していることから、2026年夏ごろには再び米の供給不足に陥る恐れがあると分析している。

悪評も目立つ古米の味

現在流通している備蓄米については、SNSなどで「まずい」との声も目立つ。米は火加減や水加減によって炊き上がりが大きく変化するが、特に精米から時間が経過した古米は含水率が低下しており、通常の炊き方では硬めに仕上がりやすい。

こうした背景から、高級炊飯器への需要が高まっていると見られる。国内の炊飯器市場は、台数ベースでは2020年頃までは約500万台の規模で推移していたが、2021年以降は500万台を下回り、2024年度には約450万台まで減少。一方、2025年4~6月期のジャー炊飯器の出荷台数は前年比3.3%増となり、3カ月連続のプラス成長を記録した。出荷金額も同9%増となっており、炊飯器市場の需要低迷は底を打ったと見られる。

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