冷静な状況分析と言葉の選び方が重要
商品やサービスが人気を博することは、本来企業にとって喜ばしいことだ。しかし近年では、過剰な人気がもたらす「嬉しくない悲鳴」も聞こえる。ダスキンの「ミスタードーナツ」が6月に発売した限定商品「もっちゅりん」は、予想を上回る売れ行きにより、即座に完売する店舗が相次いだ。同社は6月10日に品切れに関するお詫びを公表し、新たなメディア対応を停止する事態に至った。商品が「売れすぎた」場合、企業広報はどのように対応すべきか。過去の類似事例とその対応をまとめた。
SNSで転売に関する注意喚起を投稿する岩谷マテリアル
ストレス緩和や睡眠の質向上効果で一時大ブームとなったのは、ヤクルトの機能性表示食品である乳酸菌飲料「Yakult 1000」「Y1000」だ。2019年10月から2024年3月までに累計35億本以上を販売するほどの人気を博した。一方で、予想を上回る需要により生産が追いつかず、入手困難な状況が続き、同社のWebサイトには品薄状態に関するお詫びを掲載。その後は生産体制の強化を進め、富士小山ヤクルト工場の新設などで商品供給体制を整えたという。
過剰な需要が転売の標的となり、さらなる品薄を招くケースもある。マクドナルドが販売した「ちいかわ」のハッピーセット第1弾は、5月16日の発売初日から多くの店舗で行列ができ、わずか3日で販売終了となった。続く第2弾も5月23日に販売されたが、翌24日には日本マクドナルドが「多くの店舗で販売終了した」と発表し、予定されていた第3弾(第1・第2弾商品の再販売)も中止された。
