発注先の引き出し、増やしてますか?

「いつか、タモリさんとお仕事をご一緒してみたい」。そう思い続けて、タモリさんの起用をクライアントに提案したことがある方は、決して少なくないのではないでしょうか。かく言う私もその一人ですが、残念ながらこれまでの提案は別の方が採用されてきたので、まだご一緒する夢は実現していません。

私自身はテレビ番組の制作に携わっているわけでもなく、タモリさんにフィットするプロジェクトを定常的に抱えているわけでもありません。でも、将来的に「この場にタモリさんの佇まいがあったら素敵だな」と思えるような企画と出会ったときに、すぐに候補に挙げられる自分でいたいと考えています。

なぜ、そんなことを思うのか。それは、日々さまざまな番組やイベントを拝見するなかで、タモリさんの“強み”に自然と意識が向いているからです。相手の緊張を解く力。空気に溶け込みながら、誰よりも場を動かしている力。そして何より、視聴者の中に“自分ごと”として感情を置いてくる力。そうしたタレント性を、まだご一緒したこともないうちから「この方はこういう場面で活きる」と、自分なりに“発注の視点で見ている”のだと思います。

こうした積み重ねは、発注の場面で確実に効いてきます。

つまり、「この仕事には誰が合うか」という問いを前にしたとき、自分の中に“発注先の引き出し”があるかどうかで、選択肢の質とスピードがまったく変わってくるのです。事実、僕の引き出しにはたくさんの「いつか仕事したい人」がたくさん入っていて、そのせいか、かなり叶ってきた仕事人生を歩んできています。

しかし現実は、忙しい業務の中や急を要する発注のシーンだと「誰がいたっけ」と思い出す余裕もなく、結果“いつもの人”に頼むことになりがちです。特定の1社との強いパートナーシップを育てていくことも重要ですが、これだけ変化が激しい時代だからこそ、常に要件にジャストフィットしたベストな相手とプロジェクトに取り組めないのはもったいないものです。

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「発注美学」―プロジェクトを成功に導く発注スキルの考察と研究
出村光世(Konel・知財図鑑:CEO/プロジェクトデザイナー/知財ハンター)

1985年石川県金沢市生まれ。2011年アクセンチュアに所属時にKonelを創業。東京、金沢、京都、ミラノを拠点とし、デザイン・研究開発・アートの領域を横断するプロジェクトを推進。2020年、新規事業のための知財データベース「知財図鑑」を立ち上げる。プロジェクトデザイナー/知財ハンターとして分野を超えた未来実装を続けている。J-WAVE(TOKYO MORNING RADIO / INNOVATION WORLD)にてコメンテーターを担当。Red Dot/One Show/D&AD/ACCなど国内外での受賞歴多数。2023年 Forbes Japan NEXT 100に選出。著書に、オープンイノベーションのメソッドをまとめた『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』(日経BP)。プロジェクトリーダーのためのポッドキャスト番組「Project Design Room」を配信中。

出村光世(Konel・知財図鑑:CEO/プロジェクトデザイナー/知財ハンター)

1985年石川県金沢市生まれ。2011年アクセンチュアに所属時にKonelを創業。東京、金沢、京都、ミラノを拠点とし、デザイン・研究開発・アートの領域を横断するプロジェクトを推進。2020年、新規事業のための知財データベース「知財図鑑」を立ち上げる。プロジェクトデザイナー/知財ハンターとして分野を超えた未来実装を続けている。J-WAVE(TOKYO MORNING RADIO / INNOVATION WORLD)にてコメンテーターを担当。Red Dot/One Show/D&AD/ACCなど国内外での受賞歴多数。2023年 Forbes Japan NEXT 100に選出。著書に、オープンイノベーションのメソッドをまとめた『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』(日経BP)。プロジェクトリーダーのためのポッドキャスト番組「Project Design Room」を配信中。

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