顧客体験価値と人事戦略でLOWYAの拡大を図る
ベガコーポレーション(本社・福岡市)は、Eコマースを中心とした事業を展開する企業。家具・インテリアブランド「LOWYA」の企画から販売までを一気通貫で手掛け、旗艦店による集客をメインとする直販モデルと実店舗を掛け合わせた「OMO型D2Cモデル」で展開している。EC起点の顧客体験価値を広げる手段と、若手の感性で戦う人事戦略について吉田氏は語った。
ECの売上最大化はSNS・実店舗の運用がカギを握る
ベガコーポレーションは、会社のビジョンとして「ECの可能性を無限大に」を掲げており、SNS+実店舗の活用でECの売上最大化を図っている。SNSでの取り組みは「ブランド・商品発信、店舗集客、顧客コミュニケーション」の3つ。ブランド・商品発信としては、コーディネート例で顧客の生活シーンに寄り添い、商品開発ストーリーで商品理解と愛着の醸成を図り、社会貢献や寄付活動で企業の価値観を共有することにつなげているという。
店舗集客としては、店舗のオープンをストーリー仕立てで発信し、ファン層の来店意欲を促進したり、定期的な店舗ライブ配信や限定イベントの告知で集客を図っている。顧客コミュニケーションとしては、脱「企業」のフランクなスタイルでSNS運用に取り組み、コメントや意見を募ったりオフ会を開催したりすることで、共感を生み、顧客との距離を縮めている。
ECにおいては、商品に直接触れられない点や、室内でのサイズ感をイメージしにくい点、SNSでの「実際どうなの?」という疑問が課題であり、そこを解消すべく実店舗を展開した。これにより、SNS経由での売上向上だけでなく、顧客の疑問解消やメディア露出での認知拡大、EC売上への相乗効果もあったと吉田氏は語る。
LOWYAのOMOはいかにして実現したか
LOWYAは、SNSと店舗責任者をそれぞれ入社5年目以下の若手社員に任せており、「若手だからできる新しい挑戦と創造」を大切にしている。変動するこの時代、過去の成功体験は通用しなくなってきているため、参考にはしても、ゼロベースで考える必要がある。そうなったとき、SNSの運営では若手の感性を大切にし、若手から生まれたアイデアを経験者が支援する方が、売上が伸びると考えたという。
実店舗に関しても、LOWYAの客層は20代~30代が8割を占めていることから、若手社員が店頭に立つべきだという考えに至ったと吉田氏は話した。また、ベガコーポレーションではAIの活用を推進しているが、デジタルネイティブの若手の方が飲み込みが早いため、社内では若手から使い方を学び、革新的サービスを生むことを目指しているという。実際に、若手主導でプロジェクトを進めた結果、SNSの総フォロワー数は200万人を超え、動画再生数は年間で6.2億回を記録。実店舗も10店舗オープンと、大きな成果をあげたという。
OMOを進めるだけでなく、若い発想を大切にする人事戦略でECの売上最大化を図るLOWYA。「これからも試行錯誤し、振り返りながらPDCAを回すことで、変化の激しい時代でも取り残されない組織づくりをしていきたい」と吉田氏は締めくくった。
インフルエンサーと企業のパートナーシップ
PLAN-Bは、コンサルティングや「Cast Me!」というインフルエンサーのプラットフォームを運営する企業。森山氏は、ビジネスマーケティングにおけるSNSの重要性を改めて振り返り、インフルエンサーという存在を再定義し、インフルエンサーと企業のパートナーシップの組み方について語った。
SNSのビジネス戦略で重要なのは「CIF SCORE」の向上
消費者の4人に1人がSNSを通じて商品を購買した経験があるという日本において、SNSでのインプレッション拡大は企業にとって大切だということは間違いない。SNS上での「CIF SCORE」、つまり
「コンテンツパワー」「インプレッションボリューム」「フリークエンシー」を上げていくことが重要だと森山氏は語る。3つの中でも特に重要なのは「コンテンツ」。
ほか2つは広告の出稿によってコントロールできるが、コンテンツに関しては、お金をかければ人の心を動かすものが作れるというわけではない。魅力的なコンテンツさえ生み出してしまえば、SNS時代で強い武器になるというわけだ。
SNSを運用するうえで、インフルエンサーの活用を提案するPLAN-Bは、インフルエンサーという存在を「強い販売能力を持った人材」と再定義した。その販売能力は、拡散力とプレゼン力にあるという。素晴らしいコンテンツに消費者の反応がつき、SNSのアルゴリズム(リコメンド)に乗っかり大きく拡散していく。
その結果、素晴らしいプレゼンが多くの人に届き、売上拡大につながると森山氏は話した。事実、「Cast Me!」では250もの成功事例を生み出せている。
企業はインフルエンサーをどう活用すべきか
SNSでのエンゲージメント向上において重要なのは、いいね数ではなく保存数やシェア、完全視聴率であり、それらがリーチ率に影響するという。そのため、インフルエンサー選びとして見るべきはフォローよりもリーチ率。リーチの単価というものにイメージを持つと、インフルエンサーの採用で失敗しにくいようだ。
続いて、インフルエンサーと企業のパートナーシップの組み方について森山氏は語った。インフルエンサーには4つの力があると考える。「消費者に近い存在・トレンドハッカー・高い影響力・高いクリエイティブ能力」これらを高水準でバランスよく兼ね備えた人材として、インフルエンサーの活用が適していると話す。
インフルエンサーの活用方法は様々だ。自社のアカウント運用に活用する際は、消費者目線で心に刺さる商品紹介のコンテンツ作成を依頼し、自社アカウントで投稿することにより、リーチ率向上を狙う。そのほか、インフルエンサーに投稿を依頼し、その投稿を二次利用することでコンバージョン向上につなげたり、広告素材として消費者目線に立った商品の見せ方でリール動画の作成を依頼して、売上向上につなげたりなど。インフルエンサーの活用方法は幅広く、適材適所で活用することにより、プロジェクトをスムーズに進めたり、コストの大幅削減ができたりすると話した。
インフルエンサーと企業の適切なパートナーシップの組み方を理解したうえで、インフルエンサーを活用すること。そして、改めてSNSの重要性を振り返ることが、SNSマーケティング成功のカギを握ると森山氏は締めくくった。






