トヨタ自動車とネスレ日本が、睡眠をテーマにしたコラボレーション施策を進めている。東京・原宿のネスレの常設店舗「ネスカフェ睡眠カフェ」で、トヨタが開発した仮眠用シート「TOTONE(トトネ)」とコーヒーを組み合わせ、コーヒー飲用後に仮眠をとることで集中力を回復させる「コーヒーナップ」を体験できる。仮眠を“サボり”ではなく“生産性を高める行動”と位置づける新たな生活習慣を提案する取り組みだ。なぜ異業種の2社がこのテーマで手を組んだのか。
トヨタ自動車が展開する仮眠用シート「TOTONE」
「レクサス」の技術を応用
「ネスカフェ睡眠カフェ」には、仮眠用シート「TOTONE」を3席設置。カフェのある2階に「ネスカフェオリジナルデザイン」のシートを1席、3階に2席を備え、2階は9月23日まで、3階は12月18日まで体験できる。来場者はカフェインを含む「ネスカフェ」を飲用後、仮眠用シートを15分程度の仮眠を含む30分間利用できる。
30分の利用プランの料金は、コーヒー1杯を含めて税込825円。原則予約が必要だが、シートに空きがある場合などにカフェ来店客の偶発的な利用も狙う
体験者はオプションとして企画限定のデザート「きなことブランマンジェとコーヒーゼリー」(税込650円)を注文可能。質のよい睡眠につながる成分とされる必須アミノ酸「トリプトファン」を約78gが配合されている
「TOTONE」は、高級車ブランド「レクサス」のシート設計技術を応用。座面にシートヒーター、背面に膨らむクッション、側面にスピーカーを内蔵し、下からのLEDライトで自然な目覚めを促す。リクライニングは180度まで倒れず、短時間の休息に適した設計とした。圧迫感を抑えた空間づくりも特徴的。
「寝ながら移動」発想が起点
TOTONEの開発は2017年、社内のビジネスコンテストを起点に始まった。自動運転時代における「寝ながら移動」を見据え、入眠・睡眠・覚醒を支援する機能を組み込むことで、短時間でも質の高い仮眠を可能にするシートづくりを進めた。研究の過程で、15~20分程度の短時間仮眠、いわゆる「パワーナップ」が脳疲労回復に有効と確認され、仮眠を「サボり」ではなく「戦略的」に行う方向性を明確化した。
2024年には法人向けに事業を開始。生産性を重視する企業やシェアオフィスなどで導入が進んでいる。ただし、生活者が体験できる場がないことが課題だった。メディア発表会に登壇したトヨタ自動車 先進モビリティシステム開発部の加藤彩綾氏は「仮眠は効率を落とすのではなく、集中力を取り戻すために必要な文化として根付かせたい」と語る。
「仮眠を“サボり”ではなくポジティブな行動に変えていきたい」とトヨタ自動車の加藤彩綾氏
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