ChatGPTをはじめとする生成AIは、営業活動を効率化してくれる強力な武器になります。しかし、その手軽さの裏には、知っておかないと危険な落とし穴が潜んでいます。
本記事では、生成AIを業務で安全に活用するために最低限知っておくべき「3つのリスクその対策」について、株式会社TENHOの児玉知也氏が解説します。
「生成AIを活用した企画づくり・企画書作成講座」
リスク1:情報の正確性―AIは平気で「もっともらしいウソ」をつく
生成AIは、時に事実とは異なる内容を、事実であるかのように出力することがあります。これは「ハルシネーション」と呼ばれ、「究極の知ったかぶり」とも言われます。
この背景を理解するには、生成AIの仕組みを理解しておく必要があります。そもそも、AIは文章の意味を理解しているわけではなく、過去のデータから「次に来る確率が最も高い単語」を繋げているに過ぎません。そのため、出力された内容が事実かどうかに関わらず、もっともらしい文章が生成されてしまうのです。
【対策】ファクトチェックの徹底
生成AIが生成した情報やデータなどを企画書に使う場合は、不正確な情報が出力される可能性があることを念頭に置き、必ず信頼できる一次情報などで裏付けを取る(ファクトチェックする)ようにしましょう。
リスク2:機密情報の漏洩―入力した情報が“学習”されている可能性
営業担当者にとって最も注意すべきリスクです。ユーザーが入力した情報は、生成AIの学習データとして利用される場合があります。自社の機密情報や顧客情報を入力すると、その情報が将来的に第三者への回答として出力されてしまう可能性があるのです。
【対策】学習機能をオフにする
ChatGPTであれば、設定画面から「データ制御」の項目にある「チャット履歴とトレーニング」をオフにすることで、入力内容が生成AIの学習に使われるのを防げます。また、企業向けの「エンタープライズプラン」や、API連携で開発されたサービスは、入力したデータが学習されない仕様になっているものが多いため、導入を検討するのも有効です。
リスク3:著作権の侵害―AIが作った文章や画像の権利は誰のもの?
生成AIは、インターネット上の膨大なテキストや画像を学習データにしています。そのため、生成物には有名な小説の一節や、クリエイターが作成したイラストの一部などが意図せず含まれてしまう可能性があります。それらの生成物を商用利用の企画書などで安易に使用すれば、知らないうちに著作権を侵害してしまうことにもなりかねません。
【対策】社内ルールを確立する
生成AI活用に関して、自社で明確なガイドラインを定め、著作権への対策・周知を行うことが必要です。ガイドラインがない場合は、生成AIによる生成物を外部向けの資料でそのまま利用することは避けた方がいいでしょう。
生成AIは、ビジネスを加速させてくれる強力なツールです。生成AIの3つのリスクを理解し、対策を講じることが安全な活用の第一歩となります。「生成AIを活用した企画づくり・企画書作成講座」では、実際に生成AIで効率よく企画書を作成するためのプロンプトや、自動でスライドを作成するテクニックなどを解説しています。営業業務の効率化を図りたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。



