企業の社会貢献活動に注目が集まるようになってから久しいですが、現在は、社会貢献をしていればよい時代から、どのように取り組み、どのように伝えるかまでもが問われる時代になっています。
欧州で施行された「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」は、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する情報開示を任意から義務へと大きく転換させました。透明性と説明責任は、企業の存在価値を裏付ける証しであることを越えていまや、法的義務になりました。近い将来、欧州に限らず日本でも、同じ状況が訪れるかもしれません。
もし皆さんが企業広報を担っていたら、どのような社会的課題を自社の活動と結びつけて発信するでしょうか?
住宅建設を通じてコミュニティの未来を築く
IPRN開催中に注目を集めたのが、ドイツ・ハンブルクのTDUB社が支援する「Start Somewhere(日本語訳:「とにかく始めよう」)」社のプロジェクトです。
TDUB社は2018年から、国内外のパートナーや協賛企業とStart Somewhere社の接点を広げる広報活動を、無償のプロボノ業務として続けてきました。
舞台はケニア・ナイロビのキベラ地区です。アフリカ最大級のスラムで20万人以上が暮らし、住宅不足や衛生環境の問題が深刻化しています。Start
Somewhere社は、モルタル不要で組み立てることができるモジュール式建材「ツイストブロック」を活用した取り組みを、現地で実施しています。この建材は、従来の工法に比べ最大10倍速く、3分の2のコストで住宅が建設可能とのことです。
ケニアの首都ナイロビ、キベラ地区(TDUB社提供)
ツイストブロック(TDUB社提供)
大事な点は、このブロックは再利用でき、現地生産と職業訓練が雇用を生み、地域住民が自ら未来を築くスキル獲得のきっかけになる点です。この建材を活用する工法を普及させることで、かつて失業中だった若者が建築技能を身につけ、新しい職人チームのリーダーになるような事例が多く生まれています。
共感が行動を生むエンパシー・ドリブンPR
TDUB社の広報支援の真骨頂は、単なる情報発信を超えた「エンパシー・ドリブンPR(日本語訳:「共感が引き起こすPR」)を意識したことです。これは、事実や数字以上に、人の感情や共感を起点にメッセージを構築する手法です。下の表は従来型PRとの簡単な比較対照表です。

