セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂は8月25日、低価格プライベートブランド(以下、PB)「セブン・ザ・プライス」の2024年度売上が前年比200%となったと発表。2025年度も前年同期比150%と成長を維持しており、8月下旬より新商品19アイテムと数量限定の増量品9アイテムを順次投入する。帝国データバンクによると、2025年の国内食品の値上げが年間2万品目を超える見通しで「買い控え」傾向も見られる中、なぜ同社のPBが支持を広げているのか。
8月下旬より投入する新商品19アイテムと数量限定の増量品9アイテム。増量品のブロッコリーは600gから700g、カットほうれん草は500gから600gに増量した。ナショナルブランド(メーカーが全国規模で展開する商品)と比較し、1割~2割程度安い商品などを多く揃えている
一人当たりの商品点数と単価ともに拡大
「セブン・ザ・プライス」は、セブン&アイ・ホールディングスのプライベートブランド「セブンプレミアム」から、2021年7月に展開された低価格ライン。2024年度に売上が2倍に伸び、2025年度も当初120%を想定していたが150%に上振れしている。イトーヨーカ堂 執行役員 営業企画室長の中村哲士氏は「カットほうれん草やヨーグルト、食パンなど購入頻度の高い食品の売上が好調。通期でも150%を維持したい」と話す。
イトーヨーカ堂 執行役員 営業企画室長の中村哲士氏
背景には生活者の負担を強める物価高がある。総務省の家計調査によると国内のエンゲル係数は42年ぶりの高水準となり、2024年8月には30%を超えた。ナビットの調査では過去1年間に「節約した」と答えた人が75%に達し、節約項目のトップは食費だった。さらに帝国データバンクが7月末に発表した調査では、2025年度の食品値上げは「年間2万品目台への到達が確実」とされ、2024年通年の1万2520品目を大きく上回る見込みだ。10月には約2924品目の値上げが想定され、対象は加工食品や飲料、乳製品、パンなど日常の食卓に直結する品目が多い。

