日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)が主催する、企業・団体の広報部門やPR会社が実施するパブリックリレーションズの事例を対象とした「PRアワード」のエントリー受付の締め切りが10月15日に迫っている。本記事では、「PRアワード」審査委員長を務める田上智子氏(シナジア)と2023年からPR部門が独立した「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」(ACC賞)でPR部門審査委員長を務める眞野昌子氏(日本マクドナルド 広報部 部長※取材時)の対談を掲載。嶋浩一郎氏(博報堂/博報堂ケトル)をファシリテーターとしてまじえ、2つの賞の共通点や違い、PRパーソンに求められる「技」について議論する。
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社会を動かした受賞事例が示すPRの可能性
嶋
:それぞれのアワードの審査方針をうかがってきて、では過去の受賞事例を見てみましょうか。実は去年2024年度は、グランプリが同じだったんですよね。マイナビの「座ってイイッスPROJECT」です。
これは小売店舗の店員さんが立ちっぱなしでいなければならないという慣習を覆していこうというキャンペーンです。就職・転職情報サイトを運営する会社が、レジスペースに置く椅子を実際につくって頒布したという非常に面白い事例でした。ACC賞、PRアワードではそれぞれどんな議論がされたのでしょうか。
眞野
:これは審査委員一同合意のもとグランプリに決まりました。評価されたポイントは、短期間で多くのステークホルダーを巻き込んで、社会への実装までやり遂げたところでした。
また、このプロジェクトでは生活者にアンケートを取っており、「小売店で店員さんが座っていたらどう思いますか」を聞いて、「別に気にならない、いいんじゃないか」という生活者の声を紹介しています。ここで複眼的な視点が非常に活かされています。
嶋
:先ほどのストーリーテリングの手法として、多様な立場の人たちの意見を吸い上げつつ、合意を図っていくプロセスがあるんですね。
