Q1. アイデアが出ないとき、最初に頭の中で何をしますか?
アイデアに行き詰まったときは、仮眠を挟むようにしています。私は30代に入って約6年間、「1日2眠制(分割睡眠)」を導入しておりました。夜まで仕事をしたらお酒を飲んで2~3時間仮眠をし、深夜に起きて朝方までアイデアを考え、再び眠るというハードコアな習慣です。アイデアを考えて脳が疲弊した後に仮眠を挟むと短スパンで脳をリセットできるため、この荒技で短いスケジュールでの企画出しを何度も乗り越えることができました。
しかしこれは命を削る行為でもあるため、継続的な実践はお勧めしません(代償としてしばらく不眠症に……) 。今は30代後半ということもあり、十分な睡眠を心がけています。
Q2. 視点を変えたいときに使う“発想フレーム”や“型”があれば教えてください。
担当する商品・サービスについて「もしこういうファクトがあったら、こういうことが言えたら強いコピー・企画になるな」という“希望的観測の仮説”を立ててみることです。
実際に調べてみると、そうしたファクトが本当に存在するケースも少なくありません。それをもとにコピー化したり、具体的な企画に落とし込むことで、強いアウトプットにつながる可能性が高まります。結構オススメです。
Q3:アイデアを刺激する“インプット”として頼りにしているものは?
自分の知らないジャンルに詳しい人の話を聞くことです。
私の一番のインプット源は、フェニミストの妻。フェミニズム、リベラリズム、妻の好きなジャンルの映画やミュージカル、本…。自分が今まで触れてこなかった分野の知識を惜しみなく教えてくれるため、そこから着想を得て企画が生まれることも珍しくありません。自分の外の世界に接触すると、自ずと脳が刺激され、新しい視点が芽生えるきっかけになるのではないでしょうか。
Q4:頭を切り替えるために、物理的な“環境”で工夫していることは?
日中は会社や出先といったパブリックな環境で企画を行い、スタックしたところで自宅のお風呂で企画をすると、良いアイデアが生まれることが多いように思います。
浴室だと独り言を言いたい放題ですし、全裸だと気持ちも開放的になるせいかリラックスしながら企画できます。浴室に防水ホワイトボード設置してメモをしながら企画するのもオススメです。
Q5:気持ちが落ち込んだとき、どうやって立て直しますか?
私自身が元シェフということもあり、落ち込んだときは料理を作って自分を鼓舞します。美味しい料理は、大いなる活力を与えてくれるのです。まさに「人」に「良い」と書いて「食」なのですね。自炊が面倒であれば外食やデリバリーでも良いのですが、自ら料理をすると脳が刺激されるため、ふとしたアイデアが湧いてくることも。とはいえ、それでもメンタルが厳しいときはお酒をガブ飲みして寝ます(笑)
とある日の自作料理、「手打ちパッパルデッレ、ホロホロ鳥とオリーブのラグー」。
Q6:これまでに“スランプを抜けた瞬間”のエピソードがあれば教えてください。
コピーライターになって数年経ち、ある程度コピー開発にこなれてきたとき、当時の上司の一人・多賀谷昌徳さんから「齋藤君はコピー然としたコピーを書いてしまっている。それじゃあ人の心には刺さらないよ」と指摘をいただいたことがあります。
当時の私は、対句や紋切り型のコピーを書いて酔いしれる“言葉遊びレトリッククソ野郎”になっていたことを思い知り、ハッとしました。コピーの表現(How to say)はもちろん大切ですが、それ以上にまずは何を言うのか(What to say)が大切であることに改めて気付かされたのです。
その後、気持ちを改めた私はただの“クソ野郎”に昇格。レトリックに溺れずコピーを書けるようになった気がします。多賀谷さん、ありがとうございます。
Q7:応募者の皆さんにメッセージをお願いします。
コピーや企画を考える途方も無い行為には、正解がありません。孤独を感じたり、心が折れそうになることもあるかもしれません。そんなときは、「授賞式にいる自分」をニヤニヤ妄想してみてください。かく言う私もつらいときにニヤニヤ妄想したおかげで、いくつかのコピー賞を受賞できました。ニヤニヤ応援しております。
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