博報堂DYホールディングスは9月11日、インターネット広告事業を手がけるオプトなどを有するデジタルホールディングスのTOB(株式公開買い付け)を開始し、完全子会社化すると発表した。デジタルHD側も同日にTOBに賛同すると表明。応募については一般株主の判断に委ねるとした。成立すれば同社は上場廃止となる。
博報堂DYグループはデジタルマーケティング領域のコアとなるHakuhodo DY ONE、中小企業や地域企業の支援に特徴を持つソウルドアウトなどを有している。しかしデジタルマーケティングを取り巻く環境は、大手広告プラットフォームの広告運用の自動化の加速、広告主によるマーケティング活動の内製化の動きが加速するなど、年々厳しさが増していた。今回の買収により、デジタルHDのカバーする準大手・中堅企業に対して、博報堂DYグループが「テレビ×デジタル」の統合提案や販促・リアル接点支援など、フルファネル型のマーケティングを行っていく。各社の得意領域や顧客ターゲットに応じた新たな役割分担を再編成し、より競争力のある体制を確立し、電通グループやサイバーエージェントなどに巻き返しを図る狙いだ。
デジタルHDの創業者の鉢嶺登氏と現会長の野内敦氏がTOBに応募予定。両氏の資産管理会社2社はデジタルHD株の26%超を保有するが、TOB成立後に両社は博報堂DYHDに簡易吸収分割により株式の権利義務を継承。これによって博報堂DYHDはデジタルHDの完全子会社化を行う。買い付け期間は12日から10月28日まで。買付予定数は全株式の66.20%にあたる1375万株。買付価格は1株につき1970円。買付金額は約270億円。下限の757万株(所有割合40.55%)に満たない場合は買い付けない。
オプトは2005年、電通とインターネットマーケティング分野における資本業務提携契約を結び、のちに同社子会社となったが、2017年に提携を解消した。
