面白い企画は考えるな、自分。 面白法人カヤックの「その手が、あったか。」 其の5

宣伝会議の教育講座に、面白法人カヤックの特別クラス「おもしろ突破塾」が開講。担当するクリエイティブディレクター5名による面白法人流の企画術を全5回でお届けします。最終回は古谷乳業の「ミルクの束縛」や「もしも令和ギャルがカヤックの決算説明資料をつくったら」などを手掛ける合田ピエール陽太郎さんです。

伝え方ひとつで売れると知った瞬間

はじめまして、面白法人カヤックでクリエイティブディレクターをしている合田ピエール陽太郎(ごうだ ぴえーる ようたろう)です。元は飲食業で、まったくの未経験から広告の業界に入りました。きっかけは、飲食時代にマカロニグラタンをどう売るか、悩んでいた時のことです。ふとマカロニを茹でるときにイタリアの塩を使っていることを思い出し、「地中海の塩で茹でたマカロニを使いました」と伝えてみたところ、なんと完売。伝え方ひとつで物事が動く楽しさを感じました。

否定され続けて得たネガティブな強さ

商品の特長を伝えることに楽しさを感じていると、ある常連さんから「それは広告やコピーライターの仕事に近い」と教えてもらい、広告業界を目指しました。すでに三十路街道入口。代理店、制作会社を軒並み200社は落ちまくりました。

「自分が世界一面白い」と思って、この業界を目指したのですが、甘くはありませんでした。僕が面白いと思うものは、大体「面白くない」と評価され、履歴書を出しても、課題を出しても、否定され続けた結果、ひねくれたネガティブな人間になってしまったのです。

それからしばらくして、ついに宣伝会議賞のCM部門でゴールドを受賞することができました。その企画は、ホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」の曲を使ったCMでした。日本では恋愛が成就したときに流れがちですが、実は別れの曲であるという、多くの人がしている勘違いを応用したCMでした。

その後、なんとか広告業界に入ることができましたが、そこからもひねくれたまま、面白い企画が出せず、どんどんネガティブな方へと流れていきました。そうこうしているうちに、気づけば面白法人と名乗る、まったく正反対の会社であるカヤックへと流れ着いていたのです。

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