老舗バレエ用品メーカーのチャコットが メイクカテゴリで美容オタクを巻き込めた理由

2025年、創業75年を迎えた老舗バレエ用品メーカー、チャコットが化粧品事業「チャコットコスメティクス」で新たなファンを獲得している。その成功の鍵となったのが、「美容オタク層」から高い支持を得ているSNS特化型美容メディア「Mimi Beauty」を運営するMimi Beautyとの協業だ。バレエ事業で培った感性とものづくりの強みを土台に、化粧品事業へとフィールドを広げているチャコットは、いかにして「美容オタク」を巻き込み、化粧品事業を成長させているのか。チャコットの後関諒馬氏と、Mimi Beauty 取締役の中谷友里氏に聞いた。
写真 人物 集合

左から)Mimi Beauty 取締役・編集長 中谷友里氏、チャコット コスメティック事業部 マーケティング・PR担当 係長 後関諒馬氏

新商品と定番品の両輪でブランド全体の話題化を図る

━━チャコットがマーケティング活動のパートナーとして、Mimi Beautyを選んだ理由を教えてください。

後関:私たちバレエ・ダンス専門用品の製造・販売をルーツとするチャコットは、1997年からステージ向けのメイク用品を中心としたコスメ事業を開始し、その稀有な立ち位置と高い機能性を強みとしてきました。ただ、バレエ独自のメイクを前面に出しすぎると、多くの人に受け入れていただくのは難しい。そこで、「機能性の高さ」をアピールした上で、「実はバレエがルーツ」と伝えることで、「ステージ上の激しい動きにも耐える品質」という納得感をもってファンを増やしてきました。

しかし、SNSにおける発話の量と質には課題がありました。特にInstagramでは競合に比べて商品に対する言及やリール動画が少なく、投稿の質も低い状況にありました。このとき、「質の高い発話をしてくれるファンを増やす」ことを目標に、美容への関心が高い「美容オタク」層にアプローチすることを考えました。そこで相談したのがMimi Beautyさんでした。

中谷:バレエメイクならではのプロ仕様の技術力を活かしたチャコットのベースメイクアイテムは、汗や皮脂に強く、長時間崩れない点が魅力で、誰もが納得する実力があります。そんな「実力派コスメ」であってもSNSでの発話量や発話の質が向上しないのは、SNSマーケティングの難しさだと感じます。

後関:おっしゃるとおりです。そうした課題を持つ中で、中谷さんの著書を読んだことがきっかけでMimi Beautyを知りました。当時の私はコスメ商品の知識が全くない中でその本を読み、SNSで「美容オタク」の熱量を高めて共感させるマーケティング手法に「これだ!」と直感的に感じたのです。それに、Mimi Beautyの社員の皆さんからは「美容が好き!」という熱意がひしひしと伝わってきます。その情熱が大きな強みだと感じました。また、質問に対してフランクかつ迅速に、そして端的に答えてくれる姿勢から、信頼できる関係を築けるという期待感を持てたことも、協業を決めた大きな理由です。

━━具体的な取り組みと成果についてお聞かせください。

中谷:①美容オタクを巻き込み動かす、②新商品だけでなく定番品も継続的に露出させる、③複数のSNS(X、Instagram、TikTok)を網羅的に活用して接点の頻度を最大限に高める、という戦略を実施しました【図表】。

図表

図表 チャコットがブランド全体で話題化するまで

具体的には、最初に話題の起点となるよう定番のベースメイク商品のサンプル提供やイベントの実施で美容オタクを巻き込みました。そして、新商品発売のタイミングでプロモーションをするのはもちろん、その間を縫って、定番品の再プロモーションも実施。通常は新商品発売時のプロモーションで活動を終えてしまいがちですが、それだけでは他のブランドが同様のプロモーションを行った際に、話題がそちらに移ってしまうリスクがあります。

そこで私たちは、発売後も継続してプロモーションすることを重視しました。例えばベストコスメ受賞をフックにしたプロモーションを行うなど、SNS上にブランドの評判を継続的に露出することで、個別の商品への期待値も高まりやすい状況をつくっていったのです。さらに、「ターゲット×訴求したいこと」に合わせてSNS媒体やクリエイティブを選択し、SNS横断で話題感を設計していきました。

後関:施策の成果として売上が前年超で継続的に伸長できています。特に好調なのは、プロモーション対象となった新商品のコンプレクションクリエイター。新商品がバズった後も、旬な話題を提供し続けることで、定番商品であるラスティングベースの売上が前年比で約250%も伸び続けています。これは一時的なブームではなく、ブランド全体の評価が高まっている証だと考えています。またプレストパウダーのヒットをきっかけに、「チャコットってよい商品がたくさんあるんだね」という、ブランド全体の認知がじわじわと広がり始めました。その結果、今では私たちから働きかけなくても、徐々に口コミや発話が自発的に増えている状況です。

━━今後の展望についてお聞かせください。

中谷:SNS施策で発話量と質の課題を克服したチャコットには、次のステップとして「リアルの場」でのユーザー接点を増やしていくことに一緒にチャレンジしていきたいです。SNS上の熱量や信頼感は、イベントで直接話をし分かち合うことで、より深い体験に変えていけるためです。

後関:この2年間のSNSプロモーションで、「美容オタク」層への認知は一定程度獲得できたと感じています。

今後は、さらにその先にいるマス層へのリーチが大きな課題なので、雑誌などのオフライン媒体も活用しつつ、ファッションやライフスタイル、健康といった異なる領域のインフルエンサーとも連携しながら、多様なコミュニティにチャコットの魅力を届けたいと考えています。

advertimes_endmark

お問い合わせ

株式会社Mimi Beauty

E-mail:info@mimitv.co.jp

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ