購買データで商品を動かす、POSデータ活用と「サンプリング販促」の効果

購買データを活用して商品回転率を高める戦略

リテールで取得できるデータをマーケティング・販促の現場でどう活用するか。その最新事例を共有する場として、9月12日に開催された「リテールデータ・カンファレンス」。インコム・ジャパン マーケティングサービス事業部の大木 拓氏は、小売店頭における販促の最前線を紹介。その中で店頭POSの購買データ活用の重要性を取り上げた。

米国InComm Paymentsの日本法人として2008年に設立されたインコム・ジャパンは、POSAカードやギフトコードの流通、コード決済・マーケティングサービス、Visaギフトカードの発行などを展開し、小売店に幅広いソリューションを提供している。今回の講演で大木氏が解説したのは、購買データを活用して商品回転率を高める戦略。どのように成果へ繋げたのかを具体的な事例とともに紹介した。

写真 人物 大木 拓氏

インコム・ジャパン マーケティングサービス事業部 事業部長 大木 拓 氏

消費者は販促疲れを起こしている?情報過多が招く販促効果の希薄化

まず大木氏が触れたのは「消費者は日々さまざまな販促情報に接触し、情報過多に陥っている」点だ。デジタル媒体は多様化し、消費者はスマートフォンを中心に、小売事業者の公式アプリをはじめ、X・Instagram・LINEなどのSNS公式アカウントから情報収集をしている。さらに、デジタルサイネージをはじめとする店頭販促の他、「ポイ活サイト」に代表されるサードパーティーのサービス等を通じて「お得」を求める動きが強まり、積極的に情報収集する消費者が増加しているのが現状だ。ここまでだと、デジタル化が進むことによって販促施策の選択肢が増え、やりやすくなっているようにも見える。

しかし大木氏によると、媒体が増えることで消費者の関心は分散し、個別の施策効果は弱まりつつあるという。同社が実施したWebアンケート調査によると、ドラッグストアのクーポン取得場所として「公式サイトアプリ」が57.4%と最も高い一方、「メーカー公式アプリ・SNS(14.0%)」や「スマホ決済アプリ(10.6%)」など、情報接点が多岐にわたっていることがわかったと話した。

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インコム・ジャパンが実施したWebアンケート調査の結果。

加えて、小売店やメーカーの立場からすると、運用する媒体が増えているため、その分の業務負担が大きくなり、売上や集客といった成果に十分つながっていないという課題も大木氏は挙げる。バイヤーの立場としても「単品商品の割引クーポンを使用しても利用率が向上しない」「思うような販促ができていない」といった声が上がっているという。多様なデジタル媒体がある中で、消費者に支持され、選ばれる販促を実現できるかどうかが、小売店とメーカー双方の課題になっているのだ。

来店動機と棚回転を実現する「サンプリング販促」の真価

では、「消費者に支持され、選ばれる販促」はどう実現すればよいのか。そもそも小売事業者・メーカーにとって販促の最大の目的は、売場の棚にある商品を動かすこと。その中で、小売事業者は部門やカテゴリー全体の売上・粗利をKPIとし、メーカーは自社製品の売上やシェア拡大を目的としている。大木氏は「お客様の来店動機を創出し、お店の棚の商品が回転し、店舗の売上が挙がる、小売事業者・メーカーの両者Win-Winとなる販促を実現できるソリューションが必要だ」と話す。

しかし現状のクーポン販促には、「単品クーポンしか発行できない」「適用条件を細かく設定できない」「クーポン利用時の消込処理ができない」などといった制約がある場合が多い。このような課題を解決する仕組みとして紹介されたのが、インコム・ジャパンの「MarketingOne」だ。

MarketingOneは、購買データを活用し、各消費者に合わせたユニークなクーポンを発行。利用時にはPOSデータとリアルタイム連携して条件を瞬時に判定し、クーポンを即時消込するクラウド型の販促エンジンだ。国内の大手ドラッグストアチェーンでの導入実績があり、自社の販促機能だけでは対応できないニーズを補完する役割を担っている。

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特に「サンプリング販促」にも対応しており、単なる割引ではなく、1品無料で試してもらう体験を提供できるのが、MarketingOneの強みだ。同時にMarketingOneにて発行されたクーポンは、利用と同時に無効化されるため、スクリーンショットによる拡散も心配ない。これにより企業は不正利用のリスクを抑えながら、大規模なサンプリング販促の施策を展開できる。

サンプリング販促は、消費者にとって「ノーリスクで商品を試すことができる」という、施策そのものの魅力に加えて、公式SNSなどとの連動企画により、UGC(ユーザー生成コンテンツ)による拡散効果やフォロワー数向上への寄与が見込める。一般的な広告と比較して、消費者にポジティブな印象を残すため、対象商品の認知・売上拡大に効果的につなげることも可能だ。このように、MarketingOneは従来のクーポン施策の弱点を克服し、売上を毀損することなく、小売事業者・メーカーの効果的な販促を可能にする。

多様なニーズに応えるサンプリング販促以外の展開事例

最後に大木氏は、サンプリング販促以外の活用事例を3つ紹介した。
1つ目は、販促景品として自社ブランドのお買い物券を配ること。メーカーの施策例として、購買実績に応じたポイント付与やレシート応募などのマストバイ型キャンペーンの景品として、共通ポイントやスマホ決済の残高、ECサイトのギフト残高などを配布するケースがあるが、これらは必ずしも自社ブランド商品の再購買に繋がらないという難点があった。この景品を、「店頭で使える自社ブランドのお買い物券」とすることで、景品を手にしたお客様の再来店・再購買を促すことに寄与している。

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2つ目は、来店動機の創出に寄与する施策だ。プロテインやおむつなど、定期的に購入するが、一度に持ち帰りたくない、という消費者ニーズを捉え、あらかじめ消費者が申し込みのうえ、店頭で事前決済を行うと、店舗で好きな時に商品と引き換えられる回数券を配布するという企画を実現した。

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3つ目は、小売事業者が自社のお買い物券を外部チャネルで流通させ、店舗への来店・購買を促す施策だ。例えば、福利厚生サービスを提供する事業者などと提携し、会員企業で働く従業員の福利厚生として、ドラッグストアで使えるお買い物券を発行する。これにより、小売事業者のもつ自社メディアの外の消費者を実店舗に誘引し、売上に寄与する取り組みとなっている。

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情報過多の時代において、消費者の心を動かし、実際に「棚の商品を動かす」販促の重要性は増すばかりだ。インコム・ジャパンが提供するMarketingOneは、購買データとテクノロジーを駆使することで、従来の販促が抱えていた制約を乗り越える可能性を示している。

特にサンプリング販促のような実効性の高い施策は、小売業者とメーカー双方にとって強力な一手となるだろう。真に消費者に選ばれる販促を企画・実行する上で、インコム・ジャパンのソリューションは欠かせないパートナーとなり得る。

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お問い合わせ

インコム・ジャパン株式会社 

URL:https://home.marketing-one.jp


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