都市の「喫煙所」が広告の新拠点に 滞在型OOH『BREAK』が示す次の常識

移動の合間に立ち寄る喫煙所を、広告効果の高い“滞在空間”へと変えたのが、コソドが展開する喫煙所ネットワーク広告「BREAK」だ。都内403施設・505面に設置された大型モニターは、月間520万人にリーチ。平均6分間の滞在時間を活かし、ブランド認知率や特徴認知率を大幅に引き上げる効果を実証している。さらに、体験型サンプリングや商品購買への導線設計など、都市の余白を価値ある体験接点に変える新しいOOHの形を提示している。

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コソド 取締役CMO 湯川 健太氏
株式会社コソド 取締役CMO。都心オフィスビル喫煙所サイネージ『BREAK』事業責任者。2012年、rakanu株式会社(現:dot LIFE)を創立。2016年、同社にて「ペット事業」を立上げ、メディア事業・D2C事業を展開(累計1,500万食)。2019年、同社をM&AにてCARTA HOLDINGSの完全子会社化、代表取締役に。2023年より、株式会社コソド 取締役CMOに就任。

都心オフィスの滞在型OOH「BREAK」が示す可能性

コソドは、喫煙所運営「THE TOBACCO」、喫煙所ネットワーク広告「BREAK」、喫煙所企画コンサルティング事業を展開しているスタートアップ企業だ。近年、広告効果を上げる方法としてOOHの価値は再注目されているが、移動中いかに目に止めてもらうか、どのメディアも苦心している。

そこでコソドは、誰かと話したり、何かに目を向けたりしている静止時間に着目。その最たる場所として、都心のオフィスビルにある喫煙所に大型モニターを設置することで、滞在型OOHという新しいメディアを生み出した。

コソドが2024年に調査したデータによれば、都心オフィスの喫煙所は、出社1日あたり平均5回利用し、滞在時間は平均6分。つまり1日30分も滞在しているという結果が出た。そこで取り組んだのが、都心オフィスに大型モニターを設置してデジタルサイネージメディアとして活用したのが、喫煙所ネットワーク広告「BREAK」だ。

都市のビジネスエリートに届く広告メディア

コソド取締役 CMOの湯川氏によると、「BREAK」は、1広告30秒で12種類の広告を回転させることで、1回6分の滞在中に一度は目に触れる配信設計を採用しているという。全モニター全室にAIカメラを設置することで広告閲覧者の実数を把握し、曜日別、時間帯別の放送回数、利用人数を、毎週レポートとして提出している。「すでに都内403施設・505面に設置されており、月間の利用者は520万人にのぼります」(湯川氏)。

たばこの価格高騰を背景として、経済的に余裕がある人の嗜好品となった現在の喫煙環境を反映するかのように、ユーザー特性は、「1ヶ月間の可処分所得10万円以上が35.9%」「会社員91%かつ、役員・部長・課長などの役職者割合42.2%」の生活者。新商品・新サービスへの興味関心、美容・身だしなみ等への意識、健康食品やサプリの購買傾向が非喫煙者より高く、約4割が保有資産1000万円以上であるなど、企業とって魅力的なターゲットに届くメディアだと認識されている。広告出稿主はBtoCが6割、BtoBが4割が現状の数字だ。

滞在時間が長いから生まれた特徴 認知率の大幅アップ

「BREAK」の出稿事例として、本セミナーではいくつかが紹介された。例えばアサヒビールの「GINON」は、新ブランドの全国発売をきっかけとした「メインターゲット層へのブランド認知拡大」を目的に出稿。「GINON」認知率は「BREAK」の非接触者6.0%に対し、接触者は56.7%となるなど圧倒的な違いがあったという。

また、日清食品の「完全メシ」のプロモーションでは、忙しいビジネス層の「健康×手軽×時短」需要を捉えた認知拡大と利用意向の拡大を目的に出稿。完全メシの認知率は非接触者76.0%に対して接触者88.0%、どのような商品かまでを知っている特徴認知率の指標では、非接触者32.7%に対して接触者78.0%と、実に2.4倍という結果になったという。

「喫煙所メディアの『BREAK』は滞在型のメディアです。そのため、接触時間が長くなり、特徴認知率においては特に大きな効果が出たのだと考えています」(湯川氏)。

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図 喫煙所の広告的価値

滞在空間だからこそ実現できる多様なアプローチで効果を発揮

「BREAK」では映像クリエイティブの出稿だけでなく、商品との接触機会としても提供している。例えば花王の「ワイドジェットストロング」では、消臭剤を什器とセットで実際の商品を設置。喫煙所の利用者が自身の服に振りかけることで、体験を通して効果を実感してもらう施策を行った。丸の内、汐留、虎ノ門など23区を中心に24施設で展開したこの施策は、大きな効果があったという。

「同様に他の消臭剤の事例では、実際の商品だけでなく、PRツールのQRコードからECサイトで商品が購買できる施策でした。直接購入率は、出稿期間中のトータル平均CVRが4.7%であったのに対して、同施策で設置した名刺カード経由ではCVR7.9%となりました。コソドでは成果が出た要因を、その場での購入だけでなく、名刺カードを持ち帰って隙間時間などに購入した生活者がいたためだと考えています」(湯川氏)。

都市の余白が広告接点にサンプリング施策も充実

また、コソドでは「BREAK TOUCH」という滞在空間だからこそ実現できる体験型サンプリングサービスも展開している。同サービスを利用したサンスターの「オーラツープレミアム マウスウォッシュ ダブルクレンジング」は、スタッフ商品説明とともにサンプルを手渡しするプロモーションを行った。

本施策は、ビジネス層の口臭ケアへの興味関心は高く、さらに喫煙者であればさらに高いであろうという前提のもと実施されたもの。実際に2週間ほどで延べ40施設をまわり、スタッフが商品説明とともにサンプリングを行った結果、1万個のサンプリング配布に成功した。「従来のサンプリングは道路などで商品を配布するだけの一方通行のコミュニケーションになりがちですが、喫煙所特有の“滞在“という特性を活用すれば、説明だけでなく、質問の回答や感想のヒアリングなど、双方向コミュニケーションが生まれるメリットもあるんです」(湯川氏)。

この「BREAK TOUCH」サービスを提供しているのは170施設。月間のべ利用者数は200万人というポテンシャルを持つ。

喫煙所という新しいメディア空間に着目したコソド。タクシーの車内広告が一般的になっていくなかで、都市の余白を価値ある体験接点へと転換させる、次の常識をつくろうとしている。

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お問い合わせ

株式会社コソド

Mail: break@cosodo.co.jp


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