レシートデータが語る顧客の本音 ONEが拓くブランド成長の新戦略

物価高やライフスタイルの変化で、消費者の購買行動はこれまで以上に複雑になっている。「誰に」「なぜ」買われているのかを正確に捉えられなければ、ブランドの次の成長は描けない。こうした課題に対し、“日常のレシート”をブランド戦略の資産に変える取り組みが注目されている。
 
レシート買取アプリ「ONE(ワン)」を開発・運営するWEDの事業開発責任者、田中祐貴氏が9月19日に開催された「ブランドマネージャー・カンファレンス」に登壇し、レシートデータ活用によるブランド戦略の未来について語った。

ONEアプリが拓く、レシートの新たな価値

捨てられたレシートが“ブランドの宝の地図”に。

WEDが開発・運営するレシート買取アプリ「ONE」は、ユーザーがレシートをアップロードすると、現金が得られるというサービス。現在、650万人のユーザーが利用し、累計では16億枚ものレシートデータが蓄積されている。

写真 人物 WED 事業開発責任者 田中祐貴 氏

WED 事業開発責任者 田中祐貴 氏

ONEのレシートアップロード機能には、「なんでもレシート」と「レシート買取ミッション」の2種類がある。「なんでもレシート」で日常的な購買行動を収集し、「レシート買取ミッション」は特定商品の購買を促すマストバイキャンペーンとして活用される。このシンプルな仕組みが、生活者とブランドを結びつける新しい導線になっている。

イメージ シンプルなユーザー体験

レシートデータの独自性と多角的な分析軸

田中氏は、従来の購買データ(決済、POS、会員データなど)が抱える限界を指摘した。これらのデータは、「しばしば、一部が欠損していたり、収集にコストがかかったり、あるいは『誰が』購入したのかという情報が明確に紐づいていなかったりすることが多い」現状にある。

それに対し、ONEのレシートデータは、ユーザー情報とレシートデータが直接紐づいているため、「『どの商品が誰に買われているのか』を明確に把握できる」という、極めて強力な特徴を持つ。これにより、特定のチャネル(コンビニ、スーパーなど)の利用状況だけでなく、「それらを横断したユーザーの購買行動を追跡することが可能」となる。

これらの独自性を活かすことで、ONEのレシートデータは大きく3つの軸で分析が可能になるという。

一つ目は「過去から現在までの購買行動分析」である。これは、顧客のリピート購入の動向や、競合商品へのスイッチ(乗り換え)といった、時間経過に伴う購買行動の変化を追跡・分析するために活用できる。

二つ目は「チェーンを横断した分析」で、特定のコンビニやスーパーといった、利用されるチェーンごとのユーザー層の違いを把握し、チャネル戦略に活かすことを可能にする。

三つ目は「商品カテゴリー・小売業態を横断する分析」である。この分析では、例えば特定のコンビニで商品を購入したユーザーが、次にドラッグストアで何を購入し、あるいはどのようなカフェや飲食店を利用しているのか、といった異なる商品カテゴリーや業態を跨いだ購買行動を捉えることができる。これにより、特定のペルソナ像をより深く、具体的に理解することが可能となる。

イメージ レシート体験の特徴

ONEのデータは、特定の顧客一人に焦点を当て分析する「N1分析」にも適している。「例えば、『30代女性、東京都内在住、〇〇(特定の小売店名)をよく利用し、清涼飲料やお菓子類、乳製品の購入が多く、昼から夕方にかけて購入する傾向がある』といった、一人のユーザーの生活様式や購買行動まで具体的に可視化できる」と、その詳細な分析能力を具体例を挙げて説明した。また、企業が自社で保有する会員データやシリアルナンバーデータと連携させることで、“ロイヤル顧客”や“離反顧客”を浮かび上がらせることも可能だ。

事例が示すブランド成長のヒント

田中氏は、ONEの購買データを活用した具体的な施策事例を3つ紹介した。

1. 新商品投入の手応えを可視化(ヨーグルトメーカー)
新商品を市場投入する際、マストバイキャンペーンでターゲットの反応を検証。競合購入者だけでなく、カテゴリー外ユーザーの動きまで捉え、次の訴求ポイント設計につなげた。

2. ファンになる兆しを発見(ビールメーカー)
複数回のキャンペーンを重ねることで、ファン化しやすい“優良ユーザー”像を特定。広告効率を高めつつ、ファン育成を効率的に進めることに成功した。

3. ブランド価値の再構築に貢献(蒸し豆メーカー)
「なんでもレシート」で集めたデータをもとに、自社とPB商品の購入者を比較。味・手軽さ・健康価値といった購買理由を特定し、ブランド価値を再定義する基盤をつくった。

「生活者の買い方こそが、ブランドの未来を物語っている」と語った。

「広告と販促をひとつながりに」 ― 新プラットフォームの挑戦

ただし、ONE単体ではユーザー規模に限界がある。その課題を乗り越えるために生まれたのが、ギフティと共同開発した「Performance Media Network(PMN)」だ。

ONEのレシート解析基盤を外部メディアに提供し、複数メディアを横断した大規模プロモーションが実現可能になる。

イメージ

生活者は普段利用している提携メディアのページからそのままマストバイキャンペーンに参加でき、購買証明や仕組みの裏側はONEの技術が支えている。こうした仕組みの背景には、広告市場の変化がある。

「広告は、かつてのテレビや新聞を中心としたマスマーケティングから、YouTubeやSNSといったネットワーク型へと進化してきた。しかし、実際の購買へとつなげるには運用のハードルが高く、普及には限界があったのも事実だ。そこで私たちは、ONEの強みであるレシート解析基盤を活かし、広告から購買までをシームレスにつなぐ仕組みを構築した」

田中氏はこう語る。

「広告と販促をひとつながりの購買体験として届け、成果に直結する新しいマーケティングの主流を切り拓いていきたい」

最後に、「レシート1枚1枚には、生活者の本音とブランドの未来が隠されている。購買データを起点に『誰が・なぜ買ったのか』を解き明かすことは、ブランドが次の成長戦略を描く上で欠かせないステップだ。あなたのブランドの“次の成長の芽”も、意外なレシートの中に眠っているかもしれない」と語った。

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お問い合わせ

WED株式会社

URL:https://wed.company
E-mail:info@wed.company
「ONE」ダウンロードはこちら:https://wowone.onelink.me/mdG1/wed


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