「バズ」は花火、「ブランド」は焚き火。ショート動画で愛されるための“着火方法”とは?

スキップさせないショート動画には何が必要? 感覚的に語られがちなショート動画のプランニングにおける再現性のあるフレームワークを、「ショート動画・縦型動画プランニング力養成講座」の講師を務める博報堂の横山昴氏が解説します。

あれだけ騒がしかった夏が嘘のように、朝晩の空気に秋の澄んだ気配が混じるようになりましたね。

夏の熱狂を象徴するのが夜空を彩る「花火」だとしたら、これからの季節の主役は、仲間と静かに語り合うための「焚き火」です。ショート動画における「バズ」も、この華やかな花火と同じ。しかし、私たちが本当に育てるべきは、人を集め、暖め続ける「ブランド」という名の焚き火なのです。

本稿では、私が講座でお伝えした内容をその焚き火の具体的な「着火方法」、明日から使える思考のフレームワークを特別に解説します。

着火方法「何を燃やすか」を決める思考法

良い焚き火は、燃やすもの=「薪」選びから始まります。ブランドコミュニケーションにおける薪とは、その中核をなすメッセージのことです。

テクニック①「企画の3STEP」で燃やすべきものを見つける

まず、広告企画の基本に立ち返ります。企画とは、突き詰めれば3つのSTEPで構成されます。

STEP1でAとBをインプットし、STEP2で「作戦」を立てます。STEP3ではそれをどう伝えるのかを考えていきます。

A:ブランドの良いところ・伝えたいこと
B:生活者が何を求めているのか
作戦:AとBをどう結びつけるか

この「作戦」こそが、あなたのブランドが燃やすべき独自の「薪」です。

テクニック②「情報」を「あなたの感想」という火種に変える

ただし、ただの客観的な情報(インフォメーション)という薪は、なかなか火がつきません。着火のためには、「私事で恐縮な話」である個人的な視点(インテリジェンス)という火種が必要です。

現在、僕は「江東区ムービーアワード」内で動画作成の講師を担当しております。その講座でもお話をしましたが、「江東区には豊かな自然がある」という情報だけでは、人の心は動きません。しかし、「週末旅行好きの僕が、パスポートなしで行けるリゾート地を見つけた」という個人的な感想(インテリジェンス)に変換した途端、それは強烈な「WOW(驚き)」と「LIKE(自分ごと)」を伴う、燃えやすいコンテンツに変わるのです。

これは広告を作るときにも活用できます。ショート動画クリエイターのコンテンツが、多くの人からの共感を得られるのはこのインテリジェンスへの翻訳の仕方がとても上手だからです。

次のページは炎の最適化「どう燃やすか」の技術

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