そのような中、総合広告会社の新東通信は「AIドリブン宣言」を掲げ、新たに「生成AIクリエイター」を募集している。その背景には、どのような思いや狙いがあるのだろうか。代表の谷鉃也氏に伺った。
マーケティング×AIで、ビジネスをデザインする人材に
━━9月には「AIドリブン宣言」を発表されましたが、広告業界でのAIの役割はどのようなものなのでしょうか。
広告・マーケティング業界は今、非常に大きな転換点を迎えています。これまではクライアント様から課題を預かり、社内で時間をかけて検討し、数週間後に提案する、そのようなサイクルだったと思います。しかし、変化のスピードが速い今、それでは間に合いません。クライアント様との会話の場で、即座にアウトプットを提示できる力が求められています。
AIは、時代のスピード感に対応するための大きな武器になります。例えば打ち合わせ中にホームページの試作品を作成したり、キャンペーンの映像を即座に生成したりできる。これは従来の制作プロセスを根本から変える可能性を持っています。
谷鉃也(たに・てつや)氏/愛知県出身。青山学院大学、ロンドン大学を経て2001年に新東通信入社、ダイレクトマーケティングに傾倒して通販広告事業を立ち上げ、0から50億円規模に成長させる。2015年、経営不振が続いた総合PR会社共同ピーアールの再建のために同社代表取締役社長に就任。共同ピーアール、及びインフルエンサーマーケティング会社VAZの事業再生を果たす。また、10社を超えるM&Aを手掛けて経営に従事。2024年、新東通信代表取締役社長に復帰。生成AIの可能性に目覚め、生成AIの導入支援やコンサルティング、事業開発に精力的に取り組んでいる。
━━AIによって、制作のプロセスも変わりつつあるんですね。
そうですね。ただし、AIを単なる効率化のツールとして捉えてしまうと、本質を見誤ります。私たちが目指すのは、AIを“新しい価値を共創するパートナー”として位置づけ、事業そのものを変革していくことです。その考えを明確に打ち出したのが「AIドリブン宣言」です。そこで重要な役割を担っていくのが「生成AIクリエイター」です。
━━生成AIクリエイターとは、どのような役割なのでしょうか。
新東通信の生成AIクリエイターは、単に画像や動画をつくる人ではなく、マーケティングの素養を持ちながらAIを活用し、顧客の課題を解決に導く人材のことです。クリエイティブの制作に留まらず、ビジネスデザインまで踏み込める。従来のクリエイター像を超えた、新しい職種として位置づけています。
配属先は特定の部署に限りません。クリエイティブに強みがある人は制作部門で、ビジネス志向がある人は営業や経営戦略室で活躍できると考えています。既存案件はもちろん、新しいサービスや仕組みを立ち上げるようなプロジェクトにも関われます。AIを武器にどんどん新しい価値を生み出せるので、面白いと思いますよ。
「負けず嫌い」がAIの変化についていける
━━「生成AIクリエイター」として求められる人材像について教えてください。
今回の募集では、AIに関する実務経験は不問にしています。募集開始以降、70名近くから応募をいただいていますが、その多くは生成AIクリエイターとしては未経験です。もちろんマーケティングや制作、営業などのベースとなるスキルも重要ですが、大事なのは「挑戦したい」という強い意欲です。
社内でもAI人材の育成に力を入れていますが、活躍する人材に共通しているのは3つの力です。第一に「感じる力」。これは、情報や人の気持ちを敏感に察知する力ですね。第二に「自分ごと化する力」。これは、他部署の知見を自分のこととして取り入れられる力を指します。そして第三が「こだわり抜く力」、つまり納得できるまでやり切る姿勢です。これらの力を持った人は、必ず成果を出しています。
要するに負けず嫌いの人が多いですね(笑)。AIの変化はとにかく速く、昨日までの知識がすぐに古びてしまう。そんな中で、隣の同僚がAIを自在に使いこなし成果を出していると、「自分も負けていられない」と悔しさから火がつく。変化に置いていかれまいと自ら学び続ける人こそ、AI時代に最も成長できると思います。
━━新東通信では、谷社長自らがAI人材の育成プログラムを担当することもあると聞きました。
独自の育成プログラムを持っており、未経験でも短期間で力をつけることができます。私自身が、これまで100以上のAI関連セミナーに参加して得た知識を整理し、最短で実務に活かせる学習法を体系化しました。有料AIツールの利用費も会社が負担しますから、安心して学び、実務に活用できます。
実際、AIに触れたことのなかった社員が、わずか2か月で大きく成長した事例があります。新東通信では、AIスキルを10段階で評価しているのですが、最初はスキルレベル1.5程度だった社員が毎日ツールを使い倒し、勉強を積み重ねた結果、2か月でレベル5に到達しました。通常の研修で理解が追いつかなかった場合でも、再度学べるセミナーを用意するなど、誰一人置いていかないようにするためのフォロー体制も構築しています。
最近では、毎朝の1分間スピーチで社員がAIに関する気づきを共有するなど、自発的な動きも活発になっています。「昨日試したツールでこういう結果が出た」「この機能を業務に使えそうだ」といった情報交換が行われ、刺激し合いながらスキルを磨ける環境ができています。こうした小さな積み重ねが、AIが単なるスキルではなく“組織の文化”として根付いてきていると感じています。
━━会社全体でAI文化が根付いているんですね。
私たちは30人規模のAI人材を2025年度中に高度AI人材育てることを目標にしています。若手、ベテラン、幹部、新人いずれにとってもAIスキルは必須条件であり、キャリア形成の要になる位置づけです。つまり「生成AIクリエイターとして学ぶ」ことは、自身の成長だけでなく、会社の未来を共に形づくる挑戦でもあります。
生成AIクリエイターが業界をリードする存在に
━━AIクリエイターのキャリアパスについて教えてください。
生成AIクリエイターは特定の部署に縛られることなく、適性に応じて幅広い領域でキャリアを描けます。AIを武器に「課題を解決できる人材」として、どの部門でも活躍できるのが特徴です。つまり、自身がやりたいと思えば、いくらでも可能性はあります。実際に、雑誌制作のプロセスをAIで効率化し、赤字媒体を黒字化した事例もあります。生成AIクリエイターなら、こうした仕組みづくりも可能です。
待遇面でも、努力次第で大きな成果を得られる環境です。AIを活用して自ら業務領域を広げ、20代で高収入を実現している社員もいます。30代で年収1000万円を目指せる環境を整え、成果を出した人材には年齢に関係なくチャンスを与えています。また、AIスキルは幹部養成の必須条件としていますので、社内でのステップアップにもつながります。
また、若手だけでなくベテラン社員も活躍しています。50代の社員がAI研修を受け、短期間でスキルを身につけ、若手に劣らない成果を出した例もあります。AIの可能性は世代を超えて広がっており、経験豊富な社員が新しいツールを取り入れることで、むしろ大きな成果を出すこともあります。
AIスキル自体はやがて一般化するでしょう。だからこそ重要なのは、AIをどう活用し、顧客に新しい価値を生み出せるか。マーケティングの素養と組み合わせ、スピード感をもって提案できる人材こそが、次世代の広告会社をリードする存在になります。
━━最後に、これから応募を検討する読者へメッセージをお願いします。
生成AIクリエイターは、まだ世の中に確立された職種ではありません。だからこそ、自分の力で未来を形作るやりがいがあります。経験は問いません。負けず嫌いで、学びを楽しみながら挑戦できる人であれば必ず活躍できます。私たちと一緒に、広告業界の未来を切り拓いていきましょう。
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