山形vs宮城の“仁義なき芋煮バトル” 食文化が生む、地域発信の新しいかたち

東北の秋の風物詩といえば「芋煮会」だ。河原近くのコンビニには薪が積まれ、新聞には芋煮会に適した気候かを示す「芋煮会予報」が掲載される。山形のしょうゆ味・牛肉か、宮城の味噌味・豚肉か――毎年恒例の「芋煮論争」がインターネット上で盛り上がる。

そんな中、今年もまた、食文化を通じて地域が自らを発信する2つの動きが話題を集めた。

ひとつは、伝統と地域連携を軸に全国へ発信を続ける山形県の「日本一の芋煮会フェスティバル」。もうひとつは、宮城県・仙台の複合施設、アクアイグニス仙台が仕掛けた「イタリア風芋煮」だ。

食を通じて地域と人をつなぐ“コミュニケーションの場づくり”から、いま求められる発信のかたちを探る。

伝統を守り、仲間と育む「日本一の芋煮会フェスティバル」

山形の秋を象徴する「日本一の芋煮会フェスティバル」は、巨大な鍋と重機で約3万食の芋煮をふるまう恒例行事。その開催趣旨を「山形の食文化・秋の芋煮会を全国に発信し、地域産業の振興と地場産業の活性化を図る」ことを掲げている。フェスティバルを支える上で最も重視されているのは、この理念を軸に、行政・企業・市民が一体となって準備・運営を行うことだと実行委員長は語る。

このとき協賛企業もまた、単なるスポンサーではなく「開催趣旨に賛同する仲間」として迎え入れられている。

日本一の芋煮会フェスティバル協議会事務局提供

2025年9月14日に開催された第37回大会では味の素が協賛し、直径3メートルの大鍋で「鍋キューブ 鶏だし・うま塩」を使用した豚肉ベースの「うま塩芋煮」を提供。しょうゆ味に加え、新たな味のバリエーションで来場者を楽しませた。

また、名物となっているのが直径6.5mの大鍋とバックホーでの調理シーン。安全のため潤滑油の代わりに食用油を用いているのだが、今年は明治の「明治 チューブでバター 1/3」を使用。“安全・安心”を伝えるユニークな演出も注目を集めた。

実行委員長は今年を振り返り、「来場者も運営スタッフも笑顔でフェスティバルを楽しみながら運営できた」と語る。今後は会場となる河川敷の環境改善も行政に働きかけつつ、「協賛企業とともに、山形の魅力を発信する新たな仕掛けを考えていきたい」と意欲を見せる。

「ここでしか味わえない」体験を創出するアクアイグニス仙台

一方、宮城県仙台市では「癒し」と「食」をテーマにした複合施設・アクアイグニス仙台が開催する「3種の食べ比べ芋煮会」が話題になった。

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