10月17日から24日までの8日間で開催される虎ノ門広告祭。テクノロジーが発展し、メディアの様相が大きく変わり、コミュニケーションの構造と評価の仕方が大きく変わった現在。「広告」の置かれている状況も大きく変化したこの時代に、あえて“広告”についてさまざまな視点から議論していく。5日目には「1000プロジェクトを超える試行錯誤を経て見つけた”広告”の未来 CHOCOLATEの実験報告」が開かれた。
同セッションでは、CHOCOLATEのチーフコンテンツオフィサー/クリエイティブディレクターの栗林和明氏が、広告、体験、商品開発、雑貨、キャラクター、映画、アニメ…とさまざまな領域を越境して得られた発見を発表。「広告がこれからもっと面白くなる」「広告の技術が、想像以上に便利な最強の技術である」と語る真意とは。
1000を超えるプロジェクトの試行錯誤で見えた「広告の未来」とは
「広告ってどこまで遠くに行けるんだろう」。CHOCOLATEの栗林氏は、この問いをテーマにセッションを開始した。同社が8年間で手がけた1000以上のプロジェクトの多くは、「たのしみな未来をつくる」という企業ミッションの元、広告で培った技術を糧にしながらさまざまな実験的要素を組み込みながら取り組んできたという。本セッションでは、特に手応えのあった5つの実験と、そこから見えてきた「広告の未来」が語られた。
栗林氏は、広告の可能性に希望を抱く一方、「いかにも広告代理店らしい」といった世間の固定観念に悔しさを感じていた。その楽しさや価値が伝わりきっていない現状を変えるため、同社は「たのしみをつくる会社」として、広告で培った知見をエンタメなどあらゆる領域に応用する挑戦を続けている。
実験1:広告をつくるのは広告クリエイターだけなのか?
心を動かす知恵は広告業界だけのものではない。「ゲーム、映画、テレビ、マンガとそれぞれに知恵があり、融合しないのはもったいない」と考えた栗林氏は、脚本家や作曲家、テレビディレクターなど、異分野のクリエイターをチームに迎え入れた。
プランナー・コピーライター・アートディレクターによる通常の企画会議とは異なり、映像作家(兼プランナー)はプロトタイプの映像を、トラックメーカー(兼プランナー)は音楽をいきなり持ち寄る「プロトタイプブレスト」を実践。これにより議論の質が飛躍的に向上し、企画のサイクルが高速化したという。この実験から、「異分野の知見を持つ二刀流プランナーは強い」「プロトタイプブレストはクリエイティブジャンプを生む」「出自が違うメンバーが集まり言語や常識が違う中で、分野を越境してチームを率いる人材(クリエイティブディレクター)は貴重」という3つの発見があった。
