広がる「差し入れ」文脈、各社が“応援”を体験化
「差し入れ」という行為が、企業コミュニケーションの新たな切り口として注目を集めている。
ハーゲンダッツジャパンの「#差し入れクリスピーサンド」プロジェクトや、アサヒ飲料の「日本全国16Cha差し入れ大作戦」、森永製菓の「その全力にさしいれを。部活にinゼリー」など、ブランドが“応援”や“感謝”といったポジティブな感情を媒介に、体験価値を創出する取り組みが増加している。
資生堂IHADAも「ミュージカル『新テニスの王子様』The Fifth Stage」とコラボレーションし、公演期間中のキャストに製品を“差し入れ”。キャストがXでコメントムービーを発信する企画などを実施中だ。
一方、「推し活」文化にも、もともと“推しに差し入れをする”という習慣が根付いている。近年では、舞台専用の差し入れプラットフォームや、ライブ配信での“投げ銭”機能を通じてキャラクターに差し入れを贈る仕組みなど、オンラインで安全かつ効率的に行えるサービスも登場。リアルとデジタルの双方で、推しとの関係を深める新たな接点が生まれている。
K-POPアイドルの話題化から生まれた企画
そんな中、ポテトチップスブランド「プリングルズ」は、人気フレーバー「プリングルズ バターキャラメル」の再販に合わせ、InstagramとTikTokで「#推しへ差し入れプリングルズ」キャンペーンを10月23日から11月4日まで展開する。
同商品はもともと韓国で人気を博したフレーバーで、2024年に日本に初上陸。昨年はショート缶のみの販売だったが、反響を受けて今年はロング缶も新たに登場する。
SNSでは、プリングルズ公式アカウントをフォローし、推しの名前と指定ハッシュタグ「#推しへ差し入れプリングルズ」を付けてメッセージを投稿することで参加できる。
さらに、11月4日の「いい推しの日」に合わせ、11月3日・4日の2日間限定で渋谷マークシティに「差し入れポスト」を設置。来場者はオリジナルメッセージカードに推しへのコメントを書き、ポストに投函することでキャンペーンに参加できる。会場には「プリングルズ バターキャラメル」を購入できる自動販売機も設置し、リアル体験を通じたブランド接点を設計している。
「#推しへ差し入れプリングルズ」POP-UPイベントのイメージ。ポストにメッセージを投函した人の中から各日先着150名(2日間で合計300名)に、推しへの想いを書き入れて完成させる限定ステッカーをプレゼントする。
対象となる“推し”は、アイドル、歌手、俳優、キャラクターなどジャンルを問わず、二次元・三次元も不問。投稿はSNSの応募とイベントでの投函分を合算して集計し、上位10組に「プリングルズ バターキャラメル」と応援メッセージを“差し入れ”として届ける。差し入れ先は事務所から許諾が得られた場合に後日公表される予定だ。
推し活層との“共創”を軸にしたブランド戦略へ
日本ケロッグ スナック本部の大久保怜子氏によると、今回の企画のきっかけは、昨年「プリングルズ バターキャラメル味」がK-POPアイドルのお気に入りフレーバーとして話題になり、推し活層を中心に大きな反響を得たことだった。
「推し活を楽しむ方々との間で、より双方向的なコミュニケーションを生み出せないかという想いから企画がスタートしました。本商品をきっかけに、推しとのつながりをさらに楽しめる形へと昇華させたのが、『#推しへ差し入れプリングルズ』キャンペーンです」(大久保氏)。
プリングルズでは今後も、季節やイベントに合わせたテーマで、消費者の好奇心を刺激するコミュニケーションを継続的に展開していく方針だ。
「人々のあそび心や好奇心をくすぐることを使命とするブランドとして、今後も商品や季節に応じた体験型の取り組みを続けていきます」(大久保氏)。

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