生成AI活用が加速度的に進む現在、広報領域でも生成AIを使用する機会が増えている。多くの企業が配信しているプレスリリースの作成も、生成AIの活用が進む業務のひとつだ。
業種特化の専門AI開発・運営を行うメタリアルは、6月にプレスリリースを自動生成・評価採点するサービス「広報AI」の提供を開始した。
開発にあたり、同社がプレスリリース作成時の課題を、広報担当者100人以上にヒアリングしたところ、「作成に時間がかかる」「メディアの取材・記事化につながらない」という2点が明らかになった。前者は一般的な生成AIの活用によって解決へ進みつつあるが、後者は依然として大きな壁となっている。そこで「広報AI」では、文章を生成するだけでなく「メディア掲載を増やす」ことに重きを置いてサービスを開発したという。
「生成」と「採点」で作成支援
メディア掲載を増やすプレスリリースをつくるため、「広報AI」では①プレスリリースの生成プロセスを分ける、②記者の観点でAIに客観的にチェックしてもらう、という2点を意識して「リリース生成機能」と「リリース採点機能」を実装。この2つの機能により、業務効率化とプレスリリースの品質の向上を実現している。
まず、「リリース生成機能」について、事業開発室 マネージャーの山家千晶氏は次のように説明する。「プレスリリース作成に生成AIを使用する際、陥りがちなのが、いきなり本文を全部書き始めようとしてしまうこと、そして一発でプレスリリースの完成品ができると思ってしまうことです。『広報AI』では、必要な情報を入力すると自動で15以上のステップを踏んで、リリースを生成します」。
なかでもユニークなのが、このリリースの想定ターゲットのペルソナを設定し、そのペルソナを用いてAI同士に架空の会話をさせる点だ。会話のなかで抽出したポイントをリリースに反映させることで、よりターゲットが共感できる内容に仕上げていく。
「リリース採点機能」では、2000件のプレスリリース事例を「広報AI」にインプット。それらのリリースについて、実際にメディア掲載があったのか否かなども学習させることで、どのような要素が含まれていると記事化されやすいのかなどを分析し、図の6つの項目を用いた独自の採点基準を作成した。この採点基準により、作成したプレスリリースを60点満点で評価し、採点コメントを通じて修正ポイントも提示する。
図 「リリース採点機能」の画面イメージと6つの採点基準
「『広報AI』は、広報担当者だけでなく、従来はリリース作成を広報任せにしていた営業部や事業部でも活用が進んでいます。各部門が『広報AI』で原稿を作成・修正し、広報が最終チェックを行うといった運用事例も見られています。入力した情報はAIの学習には使用されないので、機密の取り扱いも安心です。『広報AI』が幅広い業務を行う広報担当者の一助になれればと思います」(山家氏)。
*特許番号:第7725038号

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