コスト3分の1、分析時間200分の1を実現。パナソニックが実践する目的逆算プロセス

ビジネスプロセスマネジメント(BPM)は、業務の標準化と効率化に留まらず、イノベーションを生むための必須要件だ。近年、生成AIの普及により、その重要性は一層高まってきている。
 
こうした変革の時代において、パナソニックのコンシューマーマーケティング ジャパン本部プロモーション戦略センターでは、生成AIを単なる効率化ツールとしてではなく、ビジネスプロセスそのものを再創造する触媒として活用。2025年4月から、生成AIを活用したチームを立ち上げ、「コストを3分の1に削減」「分析時間を200分の1に短縮」といった成果を上げている。
 
同部門で家電の国内デジタルプロモーション全体を統括する富岡広通氏は、その成功の鍵は「目的からの逆算思考」にあると語る。パナソニックのプロセス改革について話を聞いた。

「暗黙知」と「プロセスの複雑さ」という二つの課題

多くの大企業と同様に、パナソニックのマーケティング活動においても、BPMの観点から長年積み重なっていた課題が存在した。富岡氏は、その課題を大きく二つに分類する。

一つは、「人に起因する課題」だ。特に、個人の経験則や直感に依存した「暗黙知」が業務プロセスに深く根ざし、組織としてのナレッジ共有や標準化を阻害してしまう。自社のビジネスプロセスが正しく可視化されないことで、業務の遂行に時間がかかったり、サービスの品質を担保できなかったりする可能性が生じる。

もう一つは、「運用プロセスに起因する課題」である。特にプロモーション業務においては、関係各所への確認事項や調整業務が発生し、その業務に終始しがちだ。その結果、一人ひとりの生産性向上が困難になってしまう。

こうした状況下で注目されたのが、生成AIの活用だった。もともと、データ活用を使用したマーケティング戦略を行っていた富岡氏だが、生成AIの進化によって自社の業務プロセス改革も飛躍的に進んだという。「生成AIによってできることが広がったからこそ、従来のプロセスから一部を切り取って変えていくだけでは、そのポテンシャルを活かせません。まずは、ビジネスプロセスの捉え方を根本から見直す必要がありました」と富岡氏は語る。

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