「ブランドの輝きで未来を明るく。」
モデレーターを務めた人事担当の黒木万莉氏が会社の概要を説明。同社は2000年に現社名となり25周年を迎えるが、母体は1958年創業のテレビCM制作会社「アートパブリシティ」という長い歴史を持つ。昨年度オフィスを南麻布に一新し、地下にはラボとスタジオも併設。パーパス「ブランドの輝きで未来を明るく。」のもと、広範な領域をカバーするトータルプランニングを強みとする。現在145人のプロフェッショナルが在籍し、クライアントの課題解決にあたる。
iPhoneによって追い風が吹いた
佐野真一社長は、テレビが王様だった時代からインターネットの登場までを振り返る。2000年に映像とWebを融合した「ハイブリッドなプロダクション」を目指したが、当時は「テレビのカルチャーとデジタルのカルチャーはものすごく違った」と佐野氏。テレビ側はネットを軽視し、ネット側はマスメディアの終焉を唱えるなど、両者の溝は深かった。転機は2007年のiPhone登場。ネット動画が当たり前になると、映像制作ノウハウを持つ同社に追い風が吹き、映像を作れないWeb専門制作会社の多くは淘汰されたという。
OneからHuman Centricへ
2015年頃、米国でデジタル広告費がテレビを抜き、佐野氏は「One─会社を真から1つにしていこう」と映像チームとWebチームの統合を決意。「社屋を一つにする」「縦割り組織を廃す」「ルールを変える」の3改革で社員の意識を変えた。映像部門・Web/SNS部門など制作物にとらわれた部門割りから職種ごとの組織に変えた。部門内も役職の階層が多かったものを減らしシンプルな組織体制を整えた。これらが奏功して会社が一体となった感覚があると佐野氏は語った。
また2024年からは「Human Centric」の時代へ。佐野氏は「とにかく一番大切なのは人、人、人です」と、すべての人を中心に据える理念を強調した。
「AIと共創する」 未来への向き合い方
映像からネットへと順応してきた同社に対して、質疑応答ではAI時代への対応を問われた。佐野氏は、まず「諦めないこと」が何より重要だと力説。その上で、AIを(1)道具として使い倒す、(2)AIにできないことを突き詰める、(3)AIと共創して今までにないものを作る──という3つの指針を示した。現在の同社は(2)のフェーズで、AI生成したモンスターでオンラインバトル『AIマイモンSTADIUM』や今日の運勢をAIが占ってくれる「AIおみくじ」など自社事業を通じて試行錯誤する。
最後に「世の中や会社が落ち込んだ時でもへこたれない、レジリエンス(変化に柔軟に適応する力)を持てるようなカルチャーを作りたい」と語り、セッションを締めくくった。
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